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2012/1/23(月)更新
リアリティツアービューロ 権田原米三
2011年も押し詰まった12月25日、この日、リアリティツアービューロ(RTB)の主催による「東電解散!!リアリティツアー2011〜勝俣さんちにお手紙を届けよう〜」が呼び掛けられていた。四谷三丁目近辺にある東京電力会長勝俣恒久氏の自宅を、新宿から歩いて訪問し、「お手紙」を彼に届けるという企画である。
原子力発電を推進し、福島第一原発事故を起こした責任を誰ひとり追及されず、責任を果たすこともない奇妙な状況に対して、責任者の一人である勝俣氏をはっきりと名指しし、自らの手で東京電力の解散をして貰おう。なにしろ、報酬が半額になったとはいえ今も3700万円以上の年収を得て、一等地に居を構え、経営の筆頭にいるのだ。
私たちは200人ほどの警察官に囲まれつつ、歩行者天国と歩道を歩いた。東京都公安条例では、「集団示威運動」(デモ)は公安委員会の許可が必要だとされているが、私たちは、この行動を公安条例で申請が必要とされていない、遠足や葬列などの慣習であると位置づけ、届け出ないまま出発した。届出もないのに警察が警備部隊を展開しているのは謎だが、「無届デモ」だと弾圧の機会を狙っていたのは確かだろう。
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2008年10月26日、当時総理大臣だった麻生太郎の豪邸を拝見しようという「麻生邸リアリティツアー」が行われた。しかし、出発してものの数分で、取り囲んでいた制服・私服の警察官たちの乱入があり、東京都公安条例違反(無届デモ)と公務執行妨害を名目に3人が逮捕され、ツアーは中断せざるを得なかった。
…
3月の地震と原発事故以来、私たちはそれを再認識せざるを得ない。9月11日には、新宿で行われた原発反対のデモで12人が逮捕されるという事態にまで至る。勝俣宅前には地震以降、一人用ポリボックスが設置され警官が常駐している。彼は何に怯え、警察は何から彼を守ろうとしているのか。
勝俣邸に入る路地の手前では、100人の警察官が道路を封鎖し待ち構えていた。「手紙を渡しに行く」と告げると、「5人ずつなら通ってよい」と指揮官は答えた。道路を人が歩くことを規制できる理由は告げられず、非常に不当な措置である。そして曲がり角にツアーの一行を足止めしたため、歩行者の通行が困難な状況を警察自身の手で作り出し、混乱を演出しているかのようだった。
…
120名ほどの参加者のほぼ全員が勝俣氏の「モダン」な鉄筋コンクリート製の家を見ることができた。犯罪の責任者は今も責任を引き受けていないし、引き受けようともしていない。私たちがツアーを通して得たいリアリティとは、責任を曖昧にしたまま現在の状況をずるずると続ける「現実」ではない。原子力発電のない世界、核に支配されない世界のリアリティを獲得するのだ。