(以下見出しのみ全文は1434号を入手ください。購読申込・問合せはこちらまで。)
2012/1/14(土)更新
eシフト吉田明子さんに聞く
eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)は、昨年12月、「東京電力への9000億円贈与は許せません!」と題する声明を発表した。枝野経済産業大臣は、原子力損害賠償支援機構から東電への9000億円の「交付金」を認可。同交付金は、東京電力で「特別利益」として扱われ、実質的に贈与されている。さらに12月23日、東京電力は損害賠償額の増加見通しを受けて、6000億円の追加資金援助を申請している。
eシフトが指摘する問題点は、2つ。@同交付金が、原発事故被害者への損害賠償を理由に、返還義務のない贈与とされたこと、A使い道が限定されていないので、社債・金融機関への返済、原発推進のための対策資金もこの中から支出することができることだ。eシフト(国際環境 NGO)FoE Japanの吉田明子さんに話を聞いた。(文責・編集部)
私たちは、原子力損害賠償支援機構(以下「支援機構」)から東電への9000億円の贈与を認めた枝野経産大臣に抗議し、今後は「交付金」ではなく返還義務のある「貸付金」にするべきだ、と訴えています。東電は、事故に対する無限責任を負っています。しかし、支援機構法によって潤沢な資金が提供されるため、東京電力は自己資金を使わないで、国民のお金(税金)で損害賠償できることになりました。
支援機構は、原発事故被害者への速やかな損害賠償を理由に、政府が東京電力に資金援助するための仕組みですが、資金援助は、「貸し付けまたは交付などその他の方法による」(支援機構法第41条)とされています。貸付金なら、政府はお金を東京電力から取り戻すことが可能ですが、今回提供された資金は「交付金」=贈与とされ、これは返還義務がないのです。この額はさらに交付国債の枠として認められている5兆円まで拡大し、さらに政府債務保証による借入金枠の2兆円も加わって、7兆円に膨れ上がる見込みです。
「東京電力に関する経営・財務調査委員会」(内閣官房)は、東電の「要損害賠償額」を、4兆5400億円と報告しました。ただしこれには、20兆円とも試算されている莫大な除染費用は含まれていませんし、自治体が事故対応で支出した様々な行政費用なども含まれていません。避難区域外の風評被害や、避難区域外で放射能被害を受けている住民への損害賠償も、含まれていないものです。東電は、事実上債務超過=経営破綻していますが、支援機構の「交付金」が入ることで、経営破綻を免れました。
原発事故被害者への賠償を優先すべきという観点からは、まず東電への大口融資者である大手銀行や株主の責任を問うべきです。彼らの責任が問われないまま、国民の税金から9000億円贈与されることで、社会に多大な被害を与えた会社が存続しているのは、許せません。貸し手責任・株主責任を問うことによって、賠償資金の捻出も可能になります。彼らへの返済義務が大幅に軽減されるからです。東電への貸付を取り戻したい金融機関が、政府に東電の温存を求めたことが明らかになっています。その結果支援機構が作られました。東電は、破産整理をして、貸し手責任・株主責任を明確にしたうえで、被害者の賠償については、あらためて議論すべきです。電力会社の地域独占も見直し、発・送電分離へと繋げるべきです。
(以下見出しのみ全文は1434号を入手ください。購読申込・問合せはこちらまで。)