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2012/1/14(土)更新

犯人がわかっているのになぜ逮捕されないのか?

佐藤幸子さん(子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク代表世話人/NPO法人青いそら理事長)

原発事故から9カ月。福島県は未だに放射線管理区域の中での生活を強いられています。この間福島県民がどれ程、苦しんできたかを理解しようともせず、政府は「除染」を最優先にしています。今やるべきことは、まず子どもの命を守ること、集団疎開、避難です。

放射能は無くなりはしないのです。その場所から移すだけなのですから正しく表現するのなら「除染」ではなく「移染」です。

一度ばらまいた放射能が、何百年、何万年もの間この地球上に残り、命を脅かす事になる代物であることを知っていながら、原発を作り続けた政府と、東電の責任は重大です。今回の事故は、政府と東電によって引き起こされた、「無差別大量確率的殺人事件」及び「無差別大量傷害事件」だと思っています。犯人が分かっているのになぜ、逮捕されないのか私の頭では理解できません。

理解不能の出来事はそれだけではありません。事故が起こるのを待っていたかのように素早く敷かれた「100_SV」安全キャンペーン。ヨウ素剤を配布しなくてもいいように、基準値を引き上げておいたという事実。

加害者東電が出して汚したゴミを、被害者自らがボランティアで片付けるという世にも不思議な「除染」作業。低線量被曝では病気が無いことを前提にした「県民健康調査」。

自然放射線以上のものは、たとえ0・01μSV増えるだけでも、いらないものはいらない。それなのに年間20_SVまで我慢しろという基準。被曝して何かメリットがあるわけでもないのに、「レントゲン」や「飛行機」の被曝と比較するまやかし。たばこで「ガン」になる確率より低いから許容しろという問題のすり替え。

東電のお金儲けのために、福島県民が犠牲になり、被害者同士が分断させられ将来の見通しのない生活に心身ともに疲れ果てているこの現実を、東電は何をもって償おうとしているのか、全く見えてきません。東電社員の誰かが、支援のために福島県に来てボランティアをしたという話を聞いたことがありません。ましてや会長・社長など役員は、報酬さえ受け取っており、とても良心のある人間とは思えません。

東電にどんな責任の取り方をしてもらうかを考えるとき、本来、今回の事故は、「お金で償えるものではない」ことを肝に銘じて欲しい。福島県民200万人の人生を全て狂わせてしまったのですから。これ程の被害をもたらしたことに、人間としてまずやるべき事は、倫理観のある人間なら唯一つ、人間の手には負えない原発を全て廃炉にすることを約束した上で、謝ることです。悪いことをしたら二度としないと約束して謝るのは子どもにだってわかることです。謝った上で、東電の全財産を投げ打ってでも福島県民の意向に添うことです。

どこまで腹黒い人々か

「原子力損害賠償支援機構」から、無料訪問相談会の案内が届きました。説明には、「損害賠償が迅速かつ適切に実施される事を目的として設立された政府等が出資している法人で、被害者の皆様方の損害賠償におけるサポートを致します」とあった。

東電の賠償手続きは、かなり複雑な書類の提出を求められているが、その作成のためにこの支援機構にどれ程の税金が投入されているのか。聞くところによると、200億円とか。更に、賠償金のお金は、税金5兆円が既に東電の元に「収入」として入っているとか。あわよくば賠償金をできるだけ支払わずに、東電の利益にしようと目論んでいるとさえ聞きます。どこまで、腹黒いのか。同じ日本人として情けない。

 (以下一部全文は1434号を入手ください。購読申込・問合せはこちらまで。)

福島県は、もう二度と元には戻れないと思う。それは、土壌汚染がひどいからだけではなく、壊れてしまった家族、地域のコミュニティ、子どもの友達関係、こうした人間関係と一人一人の心の傷はもう元に戻すことができないのです。

「お金で幸せを買えない」と思っている多くの福島県民の怒りがここにあります。このことを東電だけでなく、日本の全ての電力会社と政府は肝に銘じて欲しいのです。

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