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2011/12/9(金)更新

大阪W選挙意見特集

(以下一部略、全文は1432号を入手ください。購読申込・問合せはこちらまで。)

橋下&「維新の会」大勝に思う

若年層を巻き込んだ橋下・維新 〜今回のダブル選挙を平松陣営として戦って

大阪・学生松岡千紘

今回のダブル選挙は、政治への信認を踏みにじる醜悪な条例案や、格差創出構造を推進する維新の会2勝という、危ぶまれる結末となった。

橋下率いる「維新の会」は、教職員に対し「国旗・国歌」の強制を唱えており、維新の会を危険視していた私は、今回の選挙戦で平松陣営として戦うことにした。公示日以前から投票日まで、街宣活動での司会や呼びかけなど、微力ながら協力した。

感想としては、呼びかけへの反応・感触はまあまあといったところで、50代〜60代が比較的ビラを受けとってくれ、また応援の声をいただけた。選挙戦序盤から徐々に市民の反応は良くなっていく感触はあったが、維新の会が学生維新の会を600人も編成するなど、比較的若年層を取り込んでいたのに対し、平松側は、若年層支持者を伸ばしきれなかったことが悔やまれる。平松側でも各大学、若者組織で応援を呼びかけたが、反応は薄く、実際に街宣に参加してくれた人数は、学生維新の会600人に遠く及ばない10人程度であった。

今回の敗因として、私が現場を見て感じるところは、平松側が無党派層を甘く見ていたため、メディア戦略・ソーシャルネットワーク戦略が遅れていたこと、また自民・民主も本腰をいれていなかったため(選対本部での内勤中強く感じた)、平松側にプロデューサーともいうべき強健なブレーンを派遣しなかったこと、以上からまるで突貫工事のような選挙活動となったこと、が考えられる。橋下のタレント性がポピュリズム政治を誘引したことを加味しても、単純な選挙戦略から遅れをとっていたと思われる。

それに対し橋下側は、早くから自らの敵として公務員等を既得権益者へ仕立てあげ、それらが支持基盤に無党派層や若年層を抱え込む要因となり、着実に得票数を伸ばすことになった。私たち《平松ユース》や共産党等は、選挙期間中に維新の会の杜撰な既得権益バッシングを批判し、ビラや街頭での呼びかけを行い、同時期にマスメディアでも橋下批判が盛り上がりつつあった。着実に橋下政治の横暴さと、その認知度が市民に伝わっていく手ごたえを感じたが、期日前投票で橋下票が圧倒的に多く(朝日世論調査)、巻き返しが手遅れだったことが非常に残念である。

「価値観」とは、何度も首相を交代させるような感情的な世論と違い、ある程度の安定性を有すため、今回の橋下がとった、仮想敵に向かって有権者を一つの感情的集団にまとめ上げてできた「民意」は、およそ「民意」とは言い難いものであると思っている。

教育現場はすでに混乱

●兵庫Y生

妙な成り行きで、大阪の生徒指導部先生たちの地区研修会に招かれた。「橋下のひどい教育行政が、どんな影響を学校現場に与えているか」を見たい気持ちもあって、参加した。予想通り、先生たちは元気がなく、無口で、用心深く目立たないようにしているのが感じ取れた。

それとは対象的な、校長など管理職の姿勢に驚いた。その研修会か部会かの会長をしているらしい校長が、開会のあいさつの中で、「文化とか人間の多様な価値を理解しないで、テストの成績だけで教育を評価するエライ人がいるが、それに負けず頑張ってください」と言っていた。

会合後、会場校の校長と会話した。彼女も「橋下さんのために人材が集まらないばかりか、優秀な先生が大阪から逃げていく。大阪の教育は、お先真っ暗ですわ」と言っていた。

地雷を踏まず橋下批判は慎重に

●兵庫大谷俊哉

日曜の夜、橋下の気色悪い笑顔を確認して、「これから大変だね」と大阪に住む高校時代の同窓生にメールを送って、眠りについた。翌朝7時に、メールの着信音で起こされた。昨夜の返事だ。「私は橋下さんを、大阪維新を支持しているから、ずっとテレビを見て喜んでいました。ダレ切った公務員の体質や無駄な二重行政にメスを入れてお金を捻出したい、という合理的な考えが私は好きです。言っていることは過激だけど、実際行動力はあると思うよ。ああいうリーダーが大阪を変えてくれるんだよ」。

私は、落ち着いて橋下の危険性を書いて送った。すると、「兵庫県民のあなたには関係ないじゃん。橋下さんになる前だって、全然行政駄目だったのに、とにかくダレ切った公務員が嫌なんだ。民間と痛み分けにしたいんだ。どんな環境でも、最後は自分が頑張らなきゃ」…。

私はもう一度簡単な反論を試みた。すると、「じゃあ、なんで大阪府民は橋下さんを選ぶの? みんな騙されてるの?みんな馬鹿?白と黒、表と裏があるように、反対の意見があるのは当然。とにかく何かやってくれそうな方に期待するのでしょう。行動力が大事だよね」。

ちなみに彼女は、結婚20年の大阪南に住むコテコテの『大阪のおばちゃん47歳』である。高校時代は、文化祭で私の主催する「反戦講演集会」等を手伝ってくれた女性だ。

「こら、橋下勝つわな」と思った。「独裁」じゃない。支持者が参加するファシズムになってしまっている。さらに言えば、彼女は先日派遣切りに会い、ひとり息子は登校拒否に家庭内暴力という、現代日本の縮図のような日常にあえいでいる。

生活保護受給率が全国1位なのをはじめ、何かと問題を背負い込んでいる市民の多い大阪。「変えてほしい、行動力が大事」という彼女の言葉は、そうした閉塞感の表れであり、おそらくは大阪府全体のムードだろう。敵は手強いぞ。

「ハシズム」の宣伝に負けた左派

●門真市議・鮮烈左翼戸田ひさよし

独裁ペテン師の橋下・松井の圧勝という結果になるとは、驚き呆れるほかない。論理ではなく、罵倒で決着がつけられる結果となった。これほど多くの有権者が、「1%の側」でしかない人間を、「99%の側」の《救世主》と思いこむとは…。これからも、倦まず弛まず啓発をしていくしかない。

ヒトラーに比べれば、橋下は「悪の小天才」に過ぎないかもしれないが、橋下の取り巻きにはそれを十分に補うブレーンや脚本家、種々のスタッフがついている。ヒトラー以降、各種の強権政治によって引き継がれ発展させられてきたプロパガンダ(宣伝扇動洗脳)の技術(現代では米帝やイスラエルの「反テロ戦争」宣伝がその典型)の担い手たちが、「橋下独裁」=「ハシズム」を日々強化してきた。

ヒトラーの演説や『我が闘争』にある言説と、橋下が行ってきた言説がいかに似ていることか。ヒトラーに賛同したドイツの大衆と、橋下に賛同した大阪の大衆がいかに似ていることか。今回の選挙で、左派は大衆に訴える力・選挙をたたかう十分な力を持てていない、ということを痛感させられたように思う。

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