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2011/12/9(金)更新

日米はどこまで沖縄を「侵す」のか!?

防衛省幹部の本音が語られ、野田政権の対米従属が露わになっている。いま沖縄は、基地問題、地位協定問題、八重山地区の教科書問題、枯れ葉剤問題(注1)、泡瀬干潟問題(注2)などなど、課題が目白押しである。

野田政権が誕生するや否や、斎藤官房副長官をはじめに、川端沖縄担当大臣、一川防衛大臣、玄葉外務大臣、北澤副代表、そして前原政調会長らが次々と沖縄にやってきた。

しかし彼らは口をそろえて、「日米合意=辺野古新基地建設」をに繰り返すだけだ。

沖縄の労働組合や市民団体は、大臣の来沖のたびに県庁前で抗議行動に取り組んでいる。そして、「来ても意味ないよ〜」「税金のムダ使いですよ〜」「もう来るな!」と、声を上げている。

今回は、「辺野古問題」「高江問題」「地位協定問題」について報告したい。(筆者)

*注1…沖縄県内の多数の米軍施設で、60〜70年代に枯れ葉剤が散布、貯蔵、埋却、運搬された、と元在沖米軍人が証言した。環境や周辺住民の健康への影響が心配されている。

*注2…泡瀬干潟は、沖縄市にあり、希少種の海洋生物が生息するなど、日本でも最高の生物多様性を誇る。この干潟を埋め立て、人工島を造る工事が、多くの反対を押し切る形で、10月28日に再開された。

(以下一部略、全文は1432号を入手ください。購読申込・問合せはこちらまで。)

@辺野古問題

米国から圧力を受けた野田政権は、辺野古新基地建設を押し進めようとしている。アセス評価書を年内に県に提出し、来年春には公有水面の埋め立て許可を仲井眞県知事に求める方針だ。もし仲井眞知事が署名を拒否すれば、次は特措法を制定して(現在、政府は「特措法の制定は考えていない」と述べている)、国が代理署名する秘策を視野に入れている。

このような野田政権の動きに対応して、名護では基地容認派が推進活動を再開している。10月26日、辺野古移設を容認する野党系市議などが主催する「北部振興推進・名護大会」には、2千人以上が参加した。 大会の終盤で登壇した島袋吉和前名護市長は、「基地問題と経済はリンクする。リンクせずに、新たな施策は出てこない」と、声を張り上げた。

さらに11月5日には、中谷元自民党政調会長代理(元防衛大臣)が、超党派の議員連盟「新世紀の安全保障体制を確立する議員の会」の一員の立場で来沖した。島袋前名護市長や野党系名護市議(自民党や礎之会など)や辺野古の地元関係者らと面談し、「辺野古移設は国際的な約束として超党派で実現しなければならない」、そのためには「地域振興と基地をリンクしていく」と述べている。

民主党の前原政調会長は、当初は中谷氏とともに会合に参加する予定だったが、急きょ予定を変更して、5日午前に帰京した。この動きについては、水面下で何か動きがあったのではないか、と憶測を呼んでいる。前原政調会長は、これまで何回も島袋前名護市長など基地容認派関係者と面談をしており、沖縄県民から強く批判されていた。

A江問題

11月15日、沖縄防衛局は、高江のヘリパッド建設工事を、2月以来9カ月ぶりに再開した。6カ所の新しいヘリパッド建設地のうち、2カ所で、2つのヘリパッドが近接している。それらは、オスプレイ滑走のための「オスプレイパッド(離発着場)」である、と専門家は指摘してきた。伊江島にも「オスプレイパッド」が準備されており、もし高江に「オスプレイパッド」が完成すれば、来年夏には普天間からオスプレイが飛び立ち、高江や伊江島にも飛んでいき、大変危険なオスプレイが、沖縄全島を飛び交う状況となる。

B日米地位協定問題

11月24日、玄葉光一郎外務大臣は記者会見し、地位協定の運用改善を発表した。この玄葉外相の突然の発表の背景には、沖縄県民の怒りをかった事件があった。今年1月、沖縄市で成人式で帰沖していた19歳の與儀功貴君が、対向車線にはみ出してきた米軍属の男性(24歳)による事故によって死亡ところが、死亡事故を起こした米軍属は、日米地位協定(公務中であり、その第一次裁判権は米軍当局にある)によって、5年間の運転禁止処分ですんでしまった。

この理不尽な処分と、與儀君の無念な死に対して、高校時代の同級生たちが立ち上がって、「與儀功貴君の遺族を支える会」を結成し、地位協定改定を求める署名活動を精力的に取り組んでいたのである。

合意内容を要約すれば、「公務中の米軍属の交通事故について、『米側の好意的考慮』を前提に日本側が裁判権を行使できる枠組みがつくられた」だけだ。

沖縄県民は小手先の対応ではなく、不平等な地位協定の抜本的な改定を望んでいる。本土の側からも、地位協定の抜本的な改定の声を上げていこう。

【追記】

11月28日、田中聡沖縄防衛局長が、那覇市内の居酒屋での記者とのオフレコ懇談会の場で、防衛相が普天間飛行場の辺野古移設に関わるアセスメント(環境影響評価)評価書の提出時期を明言しない 理由について、「犯す前に『犯しますよ』と言いますか」と発言、他にも「薩摩に攻められた時は、軍隊がいなかったから攻められた。基地のない平和な島はあり得ない」「辺野古移設で進展がなければ、普天間飛行場はそのまま残る」等と発言したことが明らかになった。当然、沖縄では「女性や沖縄に対する差別感の表れだ」と、あらゆるところから、大きな憤りの声が上がっている。

一川防衛大臣は田中防衛局長を更迭したが、一川防衛大臣自身も、12月1日の参院特別委員会で、「(1995年の米兵暴行事件について)詳細には知らない」と答弁し、「沖縄戦や沖縄の歩んだ歴史を知らないのか」「大臣にとって沖縄は他人事なのか」と、沖縄の怒りは、ますます大きくなっている。

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