人民新聞オンライン

タイトル 人民新聞ロゴ 最新版 1部150円 購読料半年間3,000円 郵便振替口座 00950-4-88555┃購読申込・問合せはこちらまで┃人民新聞社┃TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441┃Mailto:people★jimmin.com (★をアットマークに)
HOME社会原発問題反貧困編集一言政治海外情報投書コラムサイトについてリンク過去記事

特集C=松田幹雄さん(なかまユニオン学校教職員支部)インタビュー

 学校現場を無視した教育改悪条例案に各方面から「No!」

 橋下・「維新の会」主催の「区民会議」で批判ビラは好感触

 「反対!」の発言で流れが変わった「区民会議」

──「橋下教育改革」への反対活動は?

松田…2000年に「『日の丸・君が代』強制反対ホットライン大阪」(以下、ホットライン)が立ち上げられました。これは、学校での卒業式・入学式での「日の丸・君が代」の押しつけで、思想・良心の自由が侵害される事態を放っておくわけにはいかない、との思いでできたものです。

教育基本条例案

前文(一部抜粋)
教育行政からあまりに政治が遠ざけられ、教育に民意が十分に反映されてこなかった結果生じた不均衡な役割分担を改善し、政治が適切に教育行政における役割を果たし、民の力が確実に教育行政に及ばなければならない。(略)大阪府の教育は、常に世界の動向を注視しつつ、激化する国際競争に対応できるものでなければならない。

第10条(保護者)
1 保護者は、学校の運営に主体的に参画し、より良い教育の実現に貢献するよう努めなければならない。
3 保護者は、学校教育の前提として、家庭において、児童生徒に対し、生活のために必要な社会常識及び基本的生活習慣を身に付けさせる教育を行わなければならない。

弁護士の協力も得ながら、主には相談活動、教育委員会への申し入れを続けてきました。多くの教職員・保護者、市民が一緒になって、「日の丸・君が代」強制の問題に取り組み、なかまユニオンも参加しています。

今年6月3日、「大阪維新の会」が府議会に提出した「君が代強制条例」が可決されました。ホットラインでは、この条例撤廃と新たな処分条例制定反対を掲げた全国集会を9月24日に開きました。ところが、その全国集会の準備中に、「教育基本条例」「職員基本条例」が出されてきたのです。

この条例案を見て、「とんでもないことになる」「学校現場を知っている者が、もっと発信しなければ」と痛感しました。ホットラインをはじめ、「教育基本条例」の危険性を市民に訴える取り組みを強化しています。

 ──市民の反応は?

松田…橋下・維新の会は、大阪市全24区で、「区民会議」と称する公開討論会を開いています。参加者の話を聞くと、「ゆとり教育による学力低下」「学校選択制のメリット」についての話がメインだったとのことです。

私たちは、会場前で「教育基本条例案」の問題点を指摘したビラを配りました。

福島区・東淀川区では警察の妨害が激しかったのですが、参加者のビラの受け取りはよく、よく読まれていました。言いがかりをつけてくる人もいませんでした。

情宣活動を続けるうちに、維新の会もだいぶピリピリしたようです。「外でビラ配布をした者は入場させない」と24区統一で対応することを決めたそうです。「区民会議」を名乗る資格がないことを、自ら明らかにするようなものですね。

 ──「区民会議」の様子は?

松田…たとえば、「学校選択制」について、維新の会の議員が賛成・反対に分かれてディベートする、というものです。ただ、その中身は形式的で、最後には「選択制はいい」という結論で終わる、やらせ的な討論だったそうです。

参加者は、橋下知事に興味があって来るので、全体的には好意的な雰囲気です。しかし、10月23日の城東区・区民会議では、私たちと一緒に反対活動をされているTさんが、会場から反対発言をされたのです。

(以下一部全文は1429号を入手ください。購読申込・問合せはこちらまで。)

「維新」内部からも「異議あり」の声

──その他、条例案に対し、どんな動きが出ていますか?

松田…大阪府教育委員からも「異議あり」の声が出ています。現在の教育委員のメンバーは、陰山英男氏ら、橋下知事自身が呼んできた人物です。その陰山氏が、9月の会議で「教員の管理を強化すれば現場がよくなるという発想は、根本から間違い」「(管理強化の規定で)学力が上がりますか、先生のやる気が上がりますか」と批判しています。また、陰山氏を含めた教育委員全員が「条例が成立したら辞める」と公言しています。

また、10月19日には、大阪府立高PTA協議会が、教育基本条例案の見直しを求める嘆願書を、橋下知事・維新の会・府議会議長に提出しています。

橋下知事は、「自分の意見が府民の意見」と常に強弁していますが、保護者からも、こうした疑問の声が出てきているのです。

また、維新の会の内部でも、「教育基本条例」への賛否は割れています。維新の会の大阪市議団は、9月議会に「教育基本条例」を提案しましたが、維新の会のベテラン市議がこれを批判して、「維新の会」市議団の執行部に質問状を提出して、本会議を欠席しています。

──「教育基本条例」への疑問の声は、あちこちから出ているわけですね。

松田…10月10日の「朝日新聞」に、この「教育基本条例」の素案を作成した「維新の会」の坂井良和大阪市議のインタビューが掲載されています。ここには条例の本音が出ています。

このインタビューの中で、坂井氏は、「人格形成だけでは人は生きてゆけない」「格差を生んでもよい」と発言しています。かつてのイギリス「サッチャー改革」が理想の教育モデルだそうですが、サッチャーの教育改革では、様々な弊害が噴出しました。イギリスでは、競争主義教育の是正を求める動きが大きくなっていることを、橋下知事・維新の会はわかっているのでしょうか。

これからも、多くの市民・保護者とともに、条例案の撤回を求める活動を広げていきます。  

HOME社会原発問題反貧困編集一言政治海外情報投書コラムサイトについてリンク過去記事
人民新聞社 本社 〒552-0023 大阪市港区港晴3-3-18 2F
TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441 Mailto:people★jimmin.com (★をアットマークに)
Copyright Jimmin Shimbun. All Rights Reserved.