橋下「改革」の八尾市への影響 ●人件費/国を通じ退職金削減(退職債) ●福祉/高齢者街かどデイハウス補助金廃止提案→若干削減(抵抗)/高齢者ふれあい入浴補助金廃止提案→若干削減(抵抗)/障がい者医療費助成見直し提案も現状維持 ●教育/府事業取りやめ、緊急雇用の削減・見直し提案/(例・図書館サポーター)→継続/夜間中学校給食廃止 →反対署名1万余筆集めるも敗北/障がい児特別支援員制度→継続/教職員給与10%カット/学力テスト結果開示 |
「改革、改革と言っても、結局は弱者の切り捨て。最悪です」─八尾・見張り番の奥村貴夫さんは、橋下府政について、そう批判する。
左の表は、橋下「改革」の八尾市への影響があった事業の一覧だ(奥村さん調べ)。人件費・福祉・教育の各部門で、補助金・助成金を削減している。いくつかの項目で「若干削減」「継続」の但し書きがあるが、これは当事者などからの切実な反対・抵抗を受けたもので、橋下知事が自らの考えを改めたわけではない。
八尾市は、府下で中学校夜間学級(以下、夜間中学)を設置している7市のうちの一つ。これまで、大阪府は夜間中学生に対して就学援助費・給食費(府・市が2分の1ずつ負担)を支出していた。ところが、2008年に橋下知事が示した「大阪府財政再建プログラム」によって、夜間中学への補助が09年から廃止されたのである。それにともない、八尾市は夜間中学の給食を廃止した(ただし、堺市・豊中市・東大阪市は、府負担分を肩代わりする形で給食を継続)。
八尾の夜間中学で学んでいるのは、100余名。ベトナム、中国、韓国、ラオス、スペイン、タイ等の外国人が大半だ。彼らの多くが不安定な身分(非正規)で働き、安い労働力として働いている労働者だ。「給食と言っても、パンと牛乳だけのわずかなものです。年間で約100万円の予算でしかないのに、どうして給食を奪いとらなければならなかったのか」と、奥村さんは語る。
給食廃止は、直接的には、それを決定した八尾市の問題である。しかし、夜間中学はどこでもそうだが、市外から通っている生徒も多く、その交通費や食事代に不自由している人が多い。「昼間働きながら、夕食抜きの空腹で学んでいる。そんな夜間中学の現状をまったく分からないまま、府の補助を打ち切った橋下知事の責任は大きい」(奥村さん)。
実際、八尾市教委への「給食復活を求める署名」の提出時に、夜間学校の生徒から「コンビニで弁当を売っていると言われるが、お金がない」「今日は雨で仕事を休みにされ、給料が入らない」などの切実な声が上がっていたという。
人件費・福祉・教育…と、橋下知事が補助金を打ち切った(切ろうとした)のは、私たちの暮らしに直結する部分だ。関西新空港、大阪ベイエリアなど、橋下が語る「大阪」は華やかだが、その陰で必死に生きる人々の姿はない。
奥村さんは、橋下知事の「公務員たたき」の影響をもっとも強く受けているのは、非正規労働者だ、と指摘する。正職員は労働組合の組織率も高く、定期昇給も確保されている。「大阪府の非正規職員には、一時金は出ていません。組合も非正規労働者の問題にはほとんど取り組んでいません」(奥村さん)。
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「八尾でも、橋下『改革』に反対して声を上げた結果、補助金カットを撤回させ、現状維持を勝ち取りました。地域・職場で、弱者切り捨てに抵抗していけば、道は開けると思います」(奥村さん)。
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