10月16日、大阪市中央区にあるフリースクール「フォロ」にて、勝山実さんのトークイベント(主催・NPO法人フォロ)が行われ、80人以上が参加した。テーマは、「働かないでどうするの?」。勝山さんは、ひきこもり20年のうち、最初の10年間は、アルバイト先で、様々な「挫折」を経験したという。
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某ドーナツ店でドーナツを揚げていました。お昼を過ぎると疲れて、体調・集中力が切れてしまい、ひびだらけのドーナツを作っていました。
店からはクレームが出るけれど、ぶんむくれているだけで、反省はしませんでした。そうやって自尊心を守っていたんですかね。仕事が終わると、「あしたのジョー」のように燃え尽きてしまう。
最終的には、私の働きとは関係なく、会社自体が事業から撤退して店舗は閉店、解雇になりました。
紀文の工場で臨時で働いたことがあります。私がやっていたのは、はんぺんに焼きごてで社名ロゴを押す仕事でした。機械で大量に流れるはんぺん。スピードに負けて、焼きごてを押し損ねることもありましたが、一回も注意されたことはなかったですね。
「あってもなくてもいい仕事なのか?」って思いました。こういうのが働く意欲をそぐんですよね。
割り切って時間を切り売りしていられる人って、賃金労働の才能があるんだと思います。
私は横浜市に住んでいますが、近くの根岸などは工場街になっています。そこで機械の部品の故障をチェックするアルバイトをしていたんです。「不良品をなくす大事な仕事」と納得してやっていました。ある日、ふと何の部品を作っているのか気になって、一緒に働いている周りの人に聞いたら、みんな「わからない」「たぶんトースターの部品じゃないの?」って言うんです。
私は、それで辛くなっちゃったんですね。「トースターじゃないの?」で働ける人って、すごいなあ、って。でも私もお金がほしかったので、何の部品かわからなくても、「時間の切り売り」と割り切って仕事を続けていました。
そのうち、何を入れても不良品を示す赤いランプがつくようになっちゃったんですね。それで正社員の人が機械を調べ始めたんだけど、その間もベルトコンベアは止まらず、部品は流れっぱなし。その時、「ああ、自分のしている仕事はいらないんだ」って。
その後、社会学者の貴戸理恵さんの司会で、「公開づら 研」(「づら研」は生きづらさからの当事者研究会の略)がスタート。フリースクールに通う若者たち(最も若い人は11才)から、質問感想が飛び交い、勝山さんとのやり取りとなった。
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Q1・親がいなくなったら、どうしたらいいのか、と思うんですが。
A1・(本人が20代であることと、親御さんの年を50代と確認した後)平均寿命が80才超えているんですよ。30年後の心配なんて、SFの世界ですよ。だって、君自身が生きている年数よりも先の話なんですから。
Q2・ひきこもりでいると、ホームレスになっちゃうんじゃないかと思って。年金制度とかもどうなるか…。
A2・まず具体的に、障害年金とか、生活保護を取ることからスタートしたほうがいいでしょう。ホームレスになっていない人間が、今、目の前にいるわけですから。
Q3・私にとって働くというイメージは「死」だった(働いても働かなくても死んでしまう)。だけど、いざ自分が障がい者年金を取ろうと考えるとフリーズしてしまう。そういう自分の偏見に気づいたという意味で、『安心ひきこもりライフ』は怖かった。
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