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いまパレスチナでは

草の根の民衆が要求している無条件開放

 ラファ検問所を恒常的に開放せよ!

9月15日「電子インティファーダ」
ハイダール・エイド(ガザ在住・無党派政治コメンテーター) (翻訳/脇浜義明)

兄弟たちよりも狼の方が慈悲がある  ──マハムード・ ダルウィッシュ

エジプト革命後、元外相ナビル・エル・アラビが、「イスラエルのガザ封鎖への協力は、恥ずべきことだった」と言い、5月29日、エジプト暫定政府がラファ検問所の開放を宣言したとき、150万人ガザ住民は大喜びした。金曜日と祭日を除き、午前9時から午後5時まで、パスポート所持のパレスチナ人のエジプト入国を認める。ただし、18歳〜40歳の男性には事前のビザ申請が必要で、物資の流通は許可されない、という制限付きだったが、ガザのパレスチナ人は一歩前進を喜んだ。

しかし、これが実行されたのは、たった2日間だけ。公式発表なしで撤回され、ラファを通過できる人数も1日300人に制限された。ガザ住民は、この「回れ右」のために再び行動を縛られ、自由に行動できる見通しはない。

国際法というものは、選択的に引き合いに出される。パレスチナ連帯運動活動家ですら、国際法を引用してラファ検問所封鎖を正当化する。その根拠は、移動とアクセスに関する2005年の「ラファ協定」だという。

ガザは独立国ではなく、この協定を結んだのは、ラマラのパレスチナ自治政府(PA)なのだから、ラファ通過についてパレスチナ側の管理権限を有するのはPAだけで、ガザ住民ではない、というのである。

イスラエルのリベラルも、ガザ・パレスチナ人に同じような説教をする。進歩的ジャーナリストのアミラ・ハスも、ラファ検問所開放要求を批判する一人である。彼女は、検問所開放要求は、ガザ・西岸地区間行動の自由と結合されていないから、「両刃の剣となる、独りよがりな、急進的要求だ」という。ラファ検問所開放は、ガザの西岸地区からの切断を「揺るぎない事実」にしてしまうという。

しかし、ガザへ入る検問所6カ所のうち、ラファ以外はみんな銃を発砲したがるイスラエル兵の管理下にあり、PAには何の権限もないのだ。

閉塞の中で、ガザ・パレスチナ人が被っている非人間的苦しみを見ようとしないこのような考え方には、あっけにとられる。ラファの恒久的無条件開放を要求しているのは草の根の民衆で、エジプトで革命を行った草の根民衆もそれを支持していることを、ハス女史は無視している。

「世界人権宣言」第13条には、次のようにある。@すべての人は、各国の境界内において自由な移動及び居住する権利を有する。Aすべての人は、自国その他いずれの国をも立ち去り、及び自国に帰る権利を有する。

ラファ検問所の開放は、国際法に反していないし、かりに違反するとしても、新しい現実を創造するのは一般の人々、市民社会、草の根運動の力であり、権利である。いずれにせよ、ガザ封鎖や虐殺のような非常事態に、エジプトなどの近隣諸国が国境を開放することは、国際法違反ではない。

例えばボスニアでは、近隣ヨーロッパ諸国が、国際法に従ってボスニア人の国境開放要求に注意の目を向けたではないか。逆に、ガザを封鎖したり、その封鎖に手を貸す政府や政治家は、戦争犯罪者として告訴されるべきである。このことを、国際法専門家であり、エジプト・イスラエル関係でガザ・パレスチナ人に実現されない期待感を持たせるような発言をしたアラブ連盟事務局長ナビル・アラビに、はっきりと訴えたい。

2005年の前も後も、イスラエルは、ラファを開けるか閉じるか、国際法を解釈する実権を握っている。イスラエルは、自国や米国や西側の利益に沿って判断している。

我々も、パレスチナ人の権利を保障(例えばパレスチナ人の帰還権を保障する国連決議194号)し、抵抗と民族解放闘争を支持する国際法や協定を使うべきだ。本来、国際法は自由、平等、人権に奉仕すべきなのだ。

都合よく国際法を振り回す国際社会には頼れない

2007年に短期間だけ機能したすべてのパレスチナ人組織を代表するパレスチナ統一政府が、エジプトとカルテット(米・露・EU・国連)に2005年ラファ協定を受け入れることを通知した。しかし、エジプトもカルテットも通知を承認せず、そのために薬品や医療器具が搬入できない封鎖が続き、650人以上の病人や怪我人が死んだのである。

1967年以前のガザはエジプトの統治下にあり、ガザ回廊とエジプトの間に国境はなく、ガザ住民はシナイ半島を通ってスエズにまで行き来することができた。当時もパレスチナ人が民族浄化で追い出された村へ帰る闘争が行われていたが、その闘争権を潰す口実として、パレスチナ人の移動の自由を束縛することはなかった。ガザは、歴史的パレスチナの一部と見られていた。

ラファ検問所開放要求はパレスチナと外の世界との結合を意味するので、当然イスラエルとの通過点の開放、西岸地区との結合への要求とつながっている。

(以下略 全文は1427号を入手ください。購読申込・問合せはこちらまで。)

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