「安全な原発なんて一つもない。それが福島の教訓だ」「福島の子どもたちを守れないのに、原発の安全性を口にするのは卑怯だ!」―佐藤幸子さん(福島子どもネット)は、ニューヨーク・国連前で野田首相に訴えた。
9月15〜25日、佐藤幸子さん、泉かおりさん(SHUT泊)らは、福島の現状と、子どもたちの早急な避難を訴えるため、国連総会開催に合わせてニューヨークを訪問した。日本政府は、自主避難に支援はしないという姿勢を崩さず、避難できない多くの子どもたちを被曝させ続けている。また、泊原発(北海道)の再稼働も強行した。こうした日本政府を批判し、子どもたちの避難の必要性と、脱原発への方向転換を国際世論に訴えるためだ。
「日本の子どもたちを守ることは、世界の子どもたちを守ることでもある」と佐藤さんは語る。「再び原発事故が起これば、福島の子どもたちは、2度被曝することになる」という危機感が、佐藤さんにはある。原発過密の現状を問う佐藤さんに電話インタビューした。 (文責・編集部)
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子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク世話人 佐藤幸子さん
福島原発事故発生当初、米国内でもしばらくはトップニュースで伝えられ、建屋爆発(3月12日)にしても、日本政府の発表よりも正確で迅速な報道がされたそうです。この日本政府による情報統制期には、米国や欧州での報道を逆輸入して、ネットで配信し、判断材料にしていた人も多くいます。
こうした報道で、停滞していた米国の反原発運動は、一気に勢いを盛り返したそうです。ところが、7月頃から事故報道そのものが激減し、「事故は収束した。子どもたちは安全な場所に避難した」というイメージが流されました。
ですから、今回私たちが現状を報告すると、「福島にまだ子どもたちが住んでいるなんて、信じられない」と、涙ながらに感想を述べる人が何人もいました。
集会に来た人たちは、エコロジーや反原発の活動をしている人たちですから、福島の汚染レベルを見れば、「子どもが住める場所ではない」ということを知っている人たちだからです。
米政府は、福島事故直後、在日米国人に対し、80q圏外に避難するよう指示しました。後に公表された汚染地図を見ると、さらに遠くまで汚染されていたので、第1次避難距離の設定として、80qは妥当な基準でした。
ところが今、この基準の見直しが米国内で始まっているそうです。この基準が、原子力規制委員長の独断で出された指示だったためと、この基準が採用されると、少なくとも原発1基を廃炉にしなければならないからです。
…(中略)…
今回の訪米では、「原発難民」という強い言葉を使いました。福島の現状を伝え、福島の子どもたちを助けるには、日本国内だけでは、費用面も含めてできそうもないからです。避難先も含め、世界に支援を呼びかける必要があります。
12月には、米国から活動家が来日し、福島の現状を調査します。ホームスティしながら、交流も進めたいと希望しているので、受け入れ準備を進めています。
今回の訪米で、原発事故を憂い、私たちの運動に共感を示す多くの人に出会いました。ニューヨーク在住の福島出身者の方にも、支援をいただきました。国際ネットワークを広げて、世界的な脱原発の流れを作り出したいと願っています。
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