米国で起きたスリーマイル島事故では、炉心の半分が溶け、圧力容器の底に溜まった燃料を取り出すまでに11年もかかりました。福島第一原発の溶けた燃料は、圧力容器も溶かし、格納容器にまで落下したとみられています。
そうなると燃料の回収作業は絶対できません。東電も政府も、どうしていいか?実はわからないのです。
破局的な原発事故を防げなかった我々は、ここから何を学ぶべきでしょうか?
それは、「ウソをつかない」ということです。人に対しても、自分に対してもウソをつかない。もし間違えたらば謝る―それさえできていれば原子力なんてあり得なかったのです。全く安全でもないものを「安全です。絶対事故は起こしません」と言い続けて原子力を進めてきたのです。
チェルノブイリ事故の基準を適用すれば、強制的に避難させられている地域が琵琶湖の2倍になります。ここでは農業もできません。
ところが、緊急時避難準備区域、放射線管理区域にしないといけないところで、農業が続けられています。農産物は放射能に汚染されていますが、農業者が、そこに踏みとどまり、被曝してでも農業を維持するなら、消費者は彼らを支えないといけません。
東電が買い取るということになっても、その作物は捨てられます。誇りをもって農業をやっている農家は、捨てるものを作るでしょうか。第1次産業を守っていくためには、消費者が受け入れるしかないのです。
誰だって放射能は食べたくありません。でも、安全な食べ物は日本にはもうないという認識が必要です。私たちは、否応なく、汚染された食べ物に向き合うしかないのです。
放射性物質は、東電の原子炉の炉心にあったもので、東電の所有物です。できるものなら東電に返したい。
少なくとも東電には、汚染物質がどこにどれだけあるのか、調べる責任があります。食品汚染の検査は、汚染物を買い取るより金がかかることですが、東電の責務です。
国、東電の代わりに放射能を測っている団体もありますが、本来は東電に測らせないといけません。定期的に汚染を調べれば、汚染の度合いがわかります。
最も重要なことは、子供を守ることです。汚染ゼロのものはありませんが、福島の学校給食に猛烈に汚染された食材が使われています。福島の子供には、汚染度の低い、きれいなものを食べさせないといけません。
そのためには、映画で18禁があるように、食品に対しても、汚染の度合いごとに60禁、50禁という表示をすべきだと思っています。
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