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除染の現場から

深田さんは、「子ども福島」(放射能汚染から子ども達を守る福島ネットワーク)除染プロジェクトのメンバーだ。自宅もかなり汚染されているため、除染実験素材として提供している。

深田さんは、「除染に、ほとんど効果はないし、『安全神話』に利用される可能性の方が高い」と語る。それでもねばり強く除染活動に取り組む理由は何か?地域ナショナリズム=「がんばろう福島」や「復興」キャンペーンには極めて批判的な深田さんだが、隣人やふる里への思いは強いものがあると感じた。(文責・山田)

住み続けられるレベル超えた福島

政府が宣伝する除染は幻想

子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク世話人 深田和秀さん

▲深田和秀さんの自宅も
   ひどく汚染されている

私が除染活動に参加するのは、復興のためではありません。政府や県が宣伝する除染は、「これで福島に住み続けられるのではないか?戻れるんじゃないか?」という誤解と幻想を与えるのが狙いです。

これだけ汚染されてしまえば、福島に住み続けるのは無理で、原則として住民は避難すべきだと思っています。福島市内でも渡利地区などは、空間線量が2μSV/hもあって、除染がうまくいって半分に下がったとしても、子どもが住み続けられるレベルではないのです。

学校の校庭を手始めに、除染が進められていますが、校庭や通学路を除染して一時的に汚染度が下がっても、周囲の木々や建物が汚染されたままなので、すぐに上がってしまいます。除染は、地域全体を大規模に、くり返し行うことで、初めて効果があがります。

行政は、校庭を優先して除染していますが、親たちは、子どもを校庭で自由に遊ばせることを了承しないと思います。いくら学校の一部を除染して安全を強調しても、あちこちにホットスポット(特に汚染度が高い場所)があり、安全ではないことを親は知っているのです。

現状放置はできない

それでも私が効率的な除染の方法を見つけだす活動に参加するのは、現状を放置すればさらに悪くなることがはっきりしているからです。

▲屋根の除染のため、
  合成糊を塗布する

木や草が生い茂る上流地区に溜まっている放射能は、雨が降るたびに下流の住宅地に流れていきます。下流域にある住宅地をいくら除染しても、時間の経過とともに上流の放射能が降りてきて、また線量が上がるのです。

政府が住宅地から除染を始めているのは、移住を押し留めるためです。本当は、上流から地域全体を面として除染を行わなければ、効果はないのです。

ただし、除染活動をやればやるほど、立ちすくんでしまう現実があります。小さな家を除染するのにも、本当に多くの時間と労力がかかります。さらに、そうした膨大な労力を費やして除染しても、いったいどれほどの効果があるのかわからないのです。

秋になれば、落葉樹から葉が落ちて溜まります。雨が降れば、ここの放射能が農地に流れ込むでしょう。これをどうするのか?そんなことも含めて、政府は本気で考えているのでしょうか?

放射能に汚染された福島は、これから危機的状況を迎えるのです。政府も県も、そうした実態をいまだに隠し続けています。

 屯田兵となって福島に残る

それでも踏みとどまる人は、必ずいます。チェルノブイリでも飯舘村でも同じです。

▲大波町・側溝では
    8μSv/hを超える汚染

政府が避難命令を出し、移住地や補償制度がちゃんと整備されるのなら、連れて最期を看取ることになるかもしれませんが、それがない現状では、高齢の親を連れて移住など不可能です。

福島の中にも、線量が低いところは、あちこちにあります。そこに昔の屯田兵の駐屯地のような場所を造り、そこを橋頭堡として、そこから出撃して、汚染の高いところを徐々に除染していくような方法はあり得ると思います。

食料からの内部被曝を抑えるためには、田畑の表土を剥いで、その土を地中深く埋め戻せば、土の線量はかなり下がります。さらに、土にカリウムを混ぜれば、セシウムの摂取は避けられます。後は、水をゼオライト等で浄化し、移行係数の高い芋類を避け、放射能を吸い上げにくい野菜を栽培すればいいのです。

安心して暮らせるところが故郷

60才を超えた私たちは、《親の最期を看取り、次代のために残る》という選択肢はあり得ます。いずれにせよ、私たちの除染活動は、どちらの決断をしても最良の選択だったと思える条件を作るためでもあります。

私は福島に残るでしょうが、地域に思い入れがあるからではありません。福島の現実は、「ふるさとを守れ」という、地域ナショナリズムで何とかなるような状態ではないのです。人々は、地域ナショナリズムというより、経済的にがんじがらめにされて逃げられないだけです。

福島・郡山合わせて、約50万人が住んでいます。県とす。その多くは、私たちの世代でしょう。私の親は90才で、特別養護老人ホームに入っています。

(以下全文は1424号を入手ください。購読申込・問合せはこちらまで。)

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