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【沖縄現地ルポ】震災報道の陰で進む日米軍事一体化

沖縄と本土が戦場となる 対中戦争シナリオ「エアシー・バトル」

3・11以降、本土メディアの沖縄基地に関する報道といえば、震災・原発事故の報道関連の「トモダチ作戦」くらい。しかし、沖縄のメディアは、普天間基地問題をめぐる数々の動きを盛んに報道し続けている。

米議会が、米軍普天間飛行場の嘉手納基地への移設・統合案の検討をゲーツ国防長官らに提案(5月6日)、国頭村安波区では、区民総会で普天間代替施設誘致の方針を議決(6月10日)、アメリカ海兵隊が、普天間に12機のオスプレイを配備する予定を公表(6月17日)、とあわただしく動いている。そして6月21日、ワシントンで開かれた「2プラス2」(日米安全保障協議委員会)においては、普天間の辺野古移設「V字滑走路案」が改めて確認された。

沖縄の人々が「新たな基地を作らせない」との意思を示し続け、仲井眞知事も「県内移設は認めない」とくり返す中で、日米両政府は、従来の方針を変えようとしない。7月上旬、沖縄現地で、辺野古・高江・宜野湾を取材した。

まず前・宜野湾市長の伊波洋一さんのインタビューをお送りする。同氏は、@米軍の対中国戦争シナリオ「エアシー・バトル」で、琉球列島・日本が戦場とされること、A日本は戦争できる一歩前に進んでいる、と指摘した。また伊波さんは、アメリカ連邦議会・政府の議事録や資料を綿密に調べ、日米両政府に対して普天間の無条件閉鎖・国外移設を精力的に働きかけてきた。

昨年11月の沖縄県知事選後も、沖縄基地問題の講演などで全国各地を飛び回るなど、多忙な日々を送っている。 (編集部一ノ瀬)


「日本は戦争できる 一歩前に進んでいる」

インタビュー  前宜野湾市長伊波洋一さん

タテマエ確認したセレモニーとしての日米合意

──6月21日に「2プラス2」(日米安全保障協議委員会)で、「辺野古V字案」への回帰が確認されましたが。

「オスプレイ配備反対」
の横断幕を掲げる
宜野湾市役所

伊波…今回の「2プラス2」は、単なるセレモニーに過ぎません。先のない菅政権と、7月でパネッタ長官にバトンタッチするゲイツ国防長官との間で、これまでの再確認をしただけで、新しい内容は、何一つありません。

実情は、防衛省関係者もアメリカ連邦議会も、誰ひとり辺野古に基地が作れるとは思っていないのです。沖縄県民は普天間基地の辺野古移設を拒否し、アメリカ連邦議会はそうした困難な辺野古案への予算執行を認めない動向が見られます。日米両政府のみが、今までの「普天間の辺野古移設」というタテマエを堅持しているという構図になっているのです。

──来年度以降、普天間へのオスプレイ(垂直離発着輸送機)配備が公表されましたが。

伊波…宜野湾市では、6月13日に市当局・市議会・自治会長会連合会・婦人連合会・老人クラブ連合会・青年会連合会の6団体の呼びかけで、市役所前でオスプレイ配備に抗議する座り込みが行われました。これには、県内移設を容認してきた自・公の市会議員も加わっていて、全市的・横断的な行動となりました。

今後もオスプレイ配備への反対行動は、ますます全市民的なものになってくるでしょう。市民大会に向けた実行委員会づくりなどが、着々と進んでいます。

──菅政権になって、アメリカの言いなりという印象が強くなりました。

伊波…まず、政権交代後も何の反省もなく、これまでの自・公路線をそのまま継承していることは、指摘しておかなければなりません。鳩山政権時代の岡田外相と北澤防衛相は、「辺野古案回帰」に向けて、今回の「2プラス2」合意を推し進めてきました。菅政権になった後も、2人は、幹事長・防衛相(留任)として、「辺野古移設」路線を継続しています。

菅首相は、沖縄問題について何の発言もしていません。鳩山前首相を見て、あえて触れないようにしているのでしょうが、沖縄に何の関心もないのでしょうか。6月23日、「慰霊の日」に菅首相が参列しましたが、「2プラス2」でV字辺野古新基地建設と移設期限の延長を合意しておきながら、「今後、米軍基地に関わる沖縄の負担軽減と危険性除去への取り組みについて、最大限努力する」と挨拶しました。沖縄を馬鹿にしている、と言わざるをえません。

前首相の鳩山さんは、「アメリカが決めて、日本はただ従うだけ」というやり方を止めようとする姿勢がありました。結局は官僚に抵抗されて終わってしまいましたが…。

米議会も「辺野古移設は無理」

──米連邦議会の動向については、どう見ていますか?

伊波…今年4月27日、アメリカ連邦議会のレビン上院軍事委員長が、ウェブ上院外交委員会東アジア・太平洋委員長と共に沖縄調査に来ました。その後上京して、北澤防衛相と会談を行いました。

日本政府は、2人の訪日を「辺野古移設」への圧力だと受け止めたようです。しかし、両委員長はワシントンに戻って、国防総省と海兵隊に対し「15年も状況が進展しない辺野古案に固執するのはおかしい」との意見を明らかにしました。さらに、「詳細な米軍再編計画や、部隊の配備計画を明らかにしなければ、グアム移転の予算を認めない」と迫ったのです。

──米連邦議会は、辺野古移設は不可能だと認識している?

伊波…日本の超党派国会議員団が訪米し、5月5日にレビン委員長に会いました。そこで阿部知子議員(社民党)の「辺野古が困難だと思ったのはいつか?」との質問に、「辺野古の美しい海を見て、これを造ることは困難だと思った」と答えています。

………

──国内では「辺野古案見直し」の動きが見えませんが…。

──アメリカ連邦議会の動きは、沖縄にとって有利に働くのでしょうか?

──普天間の嘉手納統合の可能性は?

──実現性のない辺野古移設を、なぜ日本政府は進めようとするのでしょうか?

海兵隊の役割は減少傾向

──米軍は「トモダチ作戦」を行い、その存在意義をアピールしましたが…。

──アメリカの「対中国戦争」シナリオである「エアシー・バトル」について、詳しく教えてください。

──米軍と自衛隊が「共同作戦」として震災救援に取り組んだことは、日米同盟の強化という狙いがあったと思えますが。

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