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更新日:2011/06/08(水)

[コラム] 研究機関は被ばく労働者・住民をモルモットにするな!

福島原発周辺住民への「健康調査」

今度は、福島原発の周辺住民をモルモットにするつもりなのか。4月26日、放射線研究機関協議会が、福島原発周辺住民の長期的な健康調査を実施する方針を決めたという。同協議会は、広島大・長崎大・京都大や、放射線影響研究所(放影研)など、6つの機関からなる。

その中心的存在である放影研は、旧称をABCC(原爆傷害調査委員会)と言い、広島・長崎で、原爆被爆者のデータを「サンプル」として収集していたアメリカの機関である。1975年に日米両政府の共同出資で、ABCCの後継の研究機関として設立された。目的は、「これまで未知の領域であった放射線曝露の長期的影響を明らかにする」。

ABCC時代は、精力的に被爆者調査をおこなったが、被爆者には「血は採られるが、治療してくれない」と怒りを呼んでいた。また被爆者が亡くなると、遺体を無理矢理に持ち去って解剖し、「標本」にしてアメリカ本国に送っていたという(このくだりは、漫画「はだしのゲン」の中にも出てくる)。まさに占領者意識・人種差別丸出しの施策であった。

放影研となってからはも、その本質は変わっていない。原爆症の認定を求めて、被爆者が国・厚労省を相手取った訴訟で、国側は原爆症認定をなかなか認めようとしないが、その認定基準は、放影研の成人健康調査や寿命調査がもとになっているのだ。

被ばく者の側に立たない研究が、何の役に立つのだろう。今回の福島原発事故で、国側の対応が、周辺住民のことを考えていなかったことを、私たちはイヤというほど見てきたはずだ。

この健康調査で、被ばく労働者は救われるのか? 福島原発の周辺住民を食い物にするだけの「健康調査」など、いらない。原発の存続を前提にし、国のデータ収集と自己弁護に使われて、被ばく者の役に立たない研究など、いらない!(編集部 一ノ瀬)

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