[海外] 中東激変 シリアも内戦状態に突入か?
広がるデモと弾圧
「シリアは、割るには固すぎるナッツで、米国の目的を支持してくれそうな交代独裁者が見あたらない」―N・チョムスキーがこう評したシリアでも、民主化要求デモが広がり、武装衝突へと発展。内戦状態に突入しそうな雲行きだ。
リビアの反カダフィ武装グループへの欧米からの軍事支援で、シリア反体制派も活気づいたようだ。18日、ウィキリークスは、米国政府によるシリア反体制派への援助を暴露している。
オバマ大統領は、火中の栗を拾うことを躊躇しているが、リビア同様に「民衆の虐殺からの防護」を口実にアサド政権打倒の軍事介入に踏み込むか? 米大統領選の選挙戦のために、中東で再び米軍のプレゼンスを拡大するか? 正念場に立たされている。(編集部)
治安部隊と武装勢力の衝突
シリア公式筋は4月13日、バーニヤース市で発生した軍・治安部隊と「武装集団」の衝突で多数の死者が出たことを明らかにした。負傷者16人のうち8人が武装集団メンバー、6人が治安要員だったという。また国営のシリア・アラブ・テレビは、「多数の破壊分子と容疑者が捉えられ、司法に突き出された。また4人の破壊分子が利用していたオープンカーを押収した」と報じた。
国営のシリア・アラブ・テレビは、3人からなる「テロ細胞」が、シリアで禁止されているムスリム同胞団とレバノンのジャマール・ジャッラーフ国民議会議員と関係があり、「破壊工作」を行おうとした、と自供した映像を流した。ただしジャッラーフ議員は、事実を否認している。
また、複数の消息筋によると、今月25日までに戒厳令解除の法案準備のためにアサド大統領の指示のもとに設置された委員会は、国家治安法と平和的デモに関する法案準備などからなる活動を「完了しようとしている」とも。
これに関連して、複数の消息筋によると、約5000人の女性が14日、バーニヤース・タルトゥース街道で座り込みを行い、13日にバーニヤース市と隣接するアル=バイダー村で逮捕された住民の釈放を要求した。北部アレッポ市でも、初めてデモが発生した。
これらの活動家によると、秘密警察を含むシリア治安部隊は、同村に突入し、家々を捜索し、約350人の男性を逮捕した。前日には、村人が抗議行動に参加していた。
他方、シリア・クルド人権監視団のラディーフ・ムスタファー会長は、「学生のデモがアレッポ大学文学部で発生し、500人の学生がダルアー、バーニヤースとの連帯と自由を求めた」と述べた。また「治安部隊がデモ参加者を排除した」と付け加え、「治安部隊は学生ともみ合いになり、4人が逮捕された」ことを明らかにした。
目撃者の一人は、「事態はきわめて困難で、軍は市内から撤退し、市の出口に結集した。また治安部隊と体制側のシャッビーハ(民兵)が逮捕を繰り返している」と述べた。また「市は死んでしまったかのように静まっており、商店は閉鎖されている」と付言した。