人民新聞オンライン

タイトル 人民新聞ロゴ 最新版 1部150円 購読料半年間3,000円 郵便振替口座 00950-4-88555┃購読申込・問合せはこちらまで┃人民新聞社┃TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441┃Mailto:people@jimmin.com
反貧困社会編集一言政治海外情報投書コラムサイトについてリンク過去記事
更新日:2011/06/06(月)

[社会] 「健康被害なし」の発表を信じ自宅近くにとどまりたい
──黒沢正幸(47才)

報道がまちまちなのでここにとどまる

福島第1原発のすぐ南、大熊東工業団地にある化学薬品製造メーカーに勤める黒沢正幸さんは、よしこさん(前号でインタビューを掲載)の息子さんだ。仕事中に地震に見舞われ、工場は半壊。津波警報が出たので高台に逃げて、助かった。

原発を目の前にしながら仕事をし、生きてきた正幸さんに、汚染や事故の責任についての考えを聞いた。

◆  ◆

福島原発は東京電力ですから、私たちが使う電力ではないのですが、原発について深く考えたこともなく、「効率よく電気を作るプラント」くらいの認識しかありませんでした。事故があったとしても、原発の中で処理していると思っていました。こんな大事故は、想像もしていませんでした。東電の言う「安全」を信じていたわけです。

今回の事故については、自然災害の規模が大きすぎたと思っています。どのニュースでも言っているように、「想定外」だったのでしょう。

原発は、他のプラントと違って、一旦事故が起これば、その影響は計り知れないので、安全基準もより厳しくなければなりませんが、そうしたことも、今回の事態でわかったことで、事故以前においては頭になかったということです。

──汚染については?

東電や保安院や政府やIAEAなどの外国の機関が様々なことを発表し評価していますが、評価がバラバラで、「どれを信じて良いのかわからない」というのが、正直なところです。結局、自己判断するしかありません。

この地の被ばく量は、発表されている限りでは、一日の限度としてはそれほど大きくないし、テレビ・ラジオでも「健康被害を引き起こすほどではない」と言っているので、それを信じて、ここに留まるという判断をしています。

──地震当時は?

地震があったのは、控え室にいた時でした。工場は半壊です。3回くらい大きな揺れがあったように思います。化学工場ですから、劇薬もあり、有毒ガスが発生する可能性もありました。逃げる時もかなり恐い思いをしました。

工場は海から200メートルも離れていないので、誰かが「逃げろ」と叫び、津波に備えて高台まで逃げようとしましたが、道路は亀裂や段差で通れず、車を捨てて走りました。それでも原発が、あれほど深刻なダメージを受けているとは、思ってもいませんでした。

──建屋の爆発が起こった時は?

避難所に来ていたのですが、1カ月もすれば終息するのかと思っていました。だから、避難所に来た頃の情報源は、ラジオだけです。建屋の爆発も、テレビの映像では見ていません。地震後1週間くらいは、断片的な情報だけで判断しなければなりませんでした。ですから、放射能汚染については、情報も危機感もほとんどありませんでした。

ただし、建屋爆発から10日くらいは、車も人もほとんどなかったですね。3月25日あたりから人が増え始めて、店も開いています。ガソリンがなくて動けなかったというのもあるのでしょうが、みんな避難生活に疲れて、自宅に帰り始めています。

──今後の予定は?

仕事も「自宅待機」ということになっているので、遠くに行ってしまうと、生活基盤を失ってしまいます。家のこともあるので、できる限りここに留まりたいですね。

続きは本紙 【月3回発行】 にて。購読方法はこちらです。
[HOME]>[ 社会 ]


人民新聞社 本社 〒552-0023 大阪市港区港晴3-3-18 2F
TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441 Mailto:people@jimmin.com
Copyright Jimmin Shimbun. All Rights Reserved.