[海外] 東電は事故をコントロールできていない
──4月6日 グリーンピースUSA
フクシマの危機を伝えない東電と日本政府
この数週間、東電と日本政府は、「フクシマの危機は沈静化の方向へ向かい、事態は制御下にある」と言って、住民と世界を安心させようとしてきた。
しかし、1万5千トンもの高度放射能汚染水を、直接海洋に投棄する決定をしたこと自体、事実がその反対であることを物語っている。もっと高濃度の放射能汚染水を入れる容器がないので、すでに入っている汚染水を海に捨てて、容器を空にする自転車操業的な決定は、事態が制御下にないことの証拠である。
東電や政府は、「投棄汚染水は人間の健康にとって重大な脅威とならない」と言っているが、それは証明されたわけでなく、これからを待つしかないのだ。放射能が、海洋エコシステムや漁業・海産物に与える影響については、何も言わない。
この数日間、損傷した原子炉から40q沖合いの海水から、高濃度放射能汚染が検出されている。同じように、2週前に40q沖合いの海草から、限界値の数千倍の放射性同位体が検出されている。その放射能汚染水を海に捨てるのだから、想像するのも恐ろしい。
「避難地域」内外で調査
フクシマ周辺の沿岸は、漁や海産物採集にとって重要なところだが、原発周辺の海は、汚染の海となった。東電は4月2日に、原子炉付近で採取した海水から、法律で定める限界値の750万倍の放射性ヨウ素が検出されたことを発表した。放射性ヨウ素のようなものに法的限界値を定めるのは、安全性を考慮してのことであろう。その限界値の750万倍もの放射性ヨウ素が「人間の健康にとって、重大な脅威とならない」とは、信じ難いことだ。そのうえに、放射能汚染水1万5千トンの海洋投棄があるのだ。
先週、グリーンピースUSAの現地放射能測定チームが、飯舘村で測定した値は、福島県やIAEAが発表した値と同様の高い濃度であった。それに基づいて我々は、避難地域の外の汚染地域の住民も避難させるように、日本政府に進言した。政府は、まだ避難させていない。
避難地域外での放射能危機に関する情報を、日本政府が隠しているという報道(訳注:4月4日のNHKワールド英語版)に接して、我々は、住民に正確な情報を提供する急務を痛感した。
そこで、測定チームを2チームに増やし、避難地域の外の地域に配置した。一方のチームは、健康への脅威や、食物や牛乳の検査、残るチームは、大気の放射能汚染状況を調べている。
原子炉は本来的に危険なものであり、いつでも操作ミス、設計ミス、天災、その他の災難で危機に陥る可能性がある。世界の政府は、原子力以外の再生可能なエネルギーで未来を考えるべきであろう。