[海外] 原子力は民主主義の敵
──4月13日 Znet 聞き手:エイミー・グッドマン(デモクラシーナウ)
グリーンピース・ドイツ トーマス・ブロイルへのインタビュー
エイミー・グッドマン…日本は、福島原発事故レベルをチェルノブイリと同じ最悪の「レベル7」に引き上げました。今日の記者会見で、東京電力は「放射能漏洩は完全には止まらないので、最終的にはチェルノブイリを越える心配がある」と言いました。
我々《デモクラシーナウ》は、東京でグリーンピース・ドイツの「気候変動とエネルギー」担当部長であるトーマス・ブロイルさんにインタービューしました。彼は、日本で放射能測定をやっています。
ブロイルさん、グリーンピース・ドイツは早くから、「事故の深刻度は、日本政府発表よりもっと大きい」と言っていました。日本がとうとうレベル5から、最高度のレベル7へ上げたことをどう思いますか。
トーマス・ブロイル…まず、事故レベルの表現である国際原子力事故評価尺度(アイネス)は、チェルノブイリ事故の後に導入されたもので、適時に正確な情報を公表するためのものです。
我々グリーンピースは、すでに3週間前に科学者と一緒に計算して、この事故は、レベル7であると判断しました。日本政府は、我々よりも豊富で正確なデータがあるのに、我々と同じ結論に達するのに何故3週間もかかったのか、理解に苦しみます。これが意味するのは、政府は事故の本当の深刻度を国民に知らせずに、3週間も浪費したということです。
グッドマン…レベル7はどういうことを意味するのですか。史上最悪のチェルノブイリと同じレベルですが。
ブロイル…私の見解では、チェルノブイリと同じではなく、もっとひどいと思います。部分的に破壊されている原子炉が3機、4機目の原子炉には使用済み核燃料のトラブルがあり、大爆発が起きています。3週前に我々が行った試算では、もちろん3機の破壊程度の差があるでしょうけれど、どの機もアイネスでレベル7の深刻度です。アイネスは福島事故のように複数炉の事故を想定していませんので、実際にここで起きていることは、チェルノブイリ事故以上なのです。
もう一つ重要な点は、チェルノブイリ原発付近は比較的閑散とした農村地帯でしたが、ここ福島原発付近は人口が多く、何百万人に影響が及びます。それだけでもチェルノブイリよりひどい事故で、困難な事故と言えるでしょう。
日本→事故隠し 独→8機を停止
グッドマン…日本はどうすればよいのでしょう。
ブロイル…まず、緊急にしなければならないことがあります。我々の現地測定では、政府が定めた20q避難地域の外にある村や町でも、放射能汚染が非常に高いので、住民、とりわけ子どもや妊婦を至急避難させるように、我々は政府に警告しました。至急避難させなければなりません。それから、他にも避難が必要な危険地区があちらこちらにあるので、福島地域全体を遮へいすべきだと思います。
それに、まだ福島地域で暮らしている人々に、何をすべきか、どう行動すべきかを説明しなければならないのに、政府は未だにそれをやっていません。我々現地測定グループのところへ、毎日多くの農民がやってきて、畑の放射能や作物の汚染度を測定してくれと頼みます。食べてよいのか、販売出荷してよいのか分からない、と言うのです。実際、難しい問題です。
我々は人口34万人の福島市で測定しましたが、高度な放射能汚染があります。都市生活は、表面的には普通に行われています。政府からの情報提供や、生活方法のガイドライン指示もないままに、市民は、自分が起こしたのではない事故災害の中に取り残されている感じです。
グッドマン…私は米国人ですが、わが国のオバマ大統領は、原子力ルネサンスというべきものを推進、原子力発電建設を続けるつもりです。あなたが日本で見たことをぜひ、世界に伝えてください。
ブロイル…原子力産業のことを知れば知るほど、原子力ルネサンスなんて理解できません。原子力は、民主主義と相いれないものです。秘密が多く、危険も多い。テロや事故にもろいために、非民主主義的な運営になる。オバマ大統領は、ドイツを見るべきです。メルケル首相は、原発推進派でしたが、日本の事故で原発の危険を知り、すぐに17機の原子炉のうち、8機を停止させました。それが常識的な反応というものでしょう。