更新日:2011/06/01(水)
[海外] マルクスが想定しなかった社会主義国家の建設
──2010年7・8月号 『マンスリー・レビュー』 マルタ・ハルネッカー(チリの社会学者、ジャーナリスト、活動家女性) /翻訳・脇浜義明
政治が生んだ社会主義
チャベスは、「21世紀社会主義」が根本的に民主主義的性格であることを力説している。彼は絶えず「党を官僚機構にし、人民=主人公を潰した、スターリン主義的逸脱に陥るな」と警告している。
現存社会主義の否定的経験があったとはいえ、古典的マルクス主義がポスト資本主義社会を民主主義と結びつけていたことを忘れてはいけない。それを共産主義と呼ぼうが社会主義と呼ぼうが、どうでもよい。大切なのは内実だ。
レーニンは、『国家と革命』執筆以前に、資本主義社会では金持ちとプロレタリアートの一部の層にだけ民主主義があるのに対して、社会主義への移行段階ではほぼ全面的民主主義がある、と書いている。その段階での民主主義は、多数者の無視できない意思に従うことを望まないものを強制しなければならないから、まだ完全な民主主義ではないが、ひとたび共産主義社会になれば、民主主義が完全なものとなる、というのだ。
これは、「未来社会はすべての人間の潜在的能力の全面的開花を可能にする」というマルクスとエンゲルスの思想に鼓舞されたものだろう。『共産党宣言』の最終草稿で、マルクスは「この新しい社会は一つのアソシエーションとして現出するだろう。そこでは各自の自由な発達が全員の自由な発達の条件となるのだ」と書いている。
しかし、そのゴールに達するにはどれくらいの時間がかかるのか?
資本主義から社会主義社会へ移るためには、長い時間が必要だろう。数十年という人がいれば、数世紀という人もいる。社会主義は永遠に追い求めるが、完全実現できない理想だという人もいる
この歴史的時間のことを「社会主義への過渡期」と呼ぼう。
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