[社会] 日本の原発事故は数十年間の嘘の報告と事故の総仕上げ
──『ビジネスウィーク』誌3月13日付/ジェイソン・クレンフィールド 翻訳・脇浜義明
海外メディアは福島原発事故をどう報道したか?
現在福島原発で展開していることは、日本の原子力産業による、何十年間にもわたる安全性や事故に関する嘘の報告と危険性の過小評価の結果であるといえよう。先週のマグニチュード9.0の地震と津波が引き起こした破壊のわずか4年足らず前に、やはり東京電力が運転する世界最大の原子力発電が震度6.8の地震で操業停止した。2002年と2007年には、原発修理記録を改ざんしたことが発覚して社長の辞職と17基の原子炉の3週間の操業停止となった。
石油やガス資源がない日本は第二次大戦以後、原子力発電を最優先させてきた。現在54基の原子炉が稼動しており、米国と仏国に次いで世界3番目の多さである。世界で最も地震多発国であることを思うと、安全よりも経済を優先させる政策を採ってきたのだ。
私は、事故、嘘の報告、そして戦後長期にわたって政権を担ってきた自由民主党の無為無策について、原発で働いた経験がある核技術者や研究者にインタビューした。
神戸大学の地震学教授の石橋勝彦は、日本の原発事故の歴史は原発技術に関する過信から起因している、と言った。彼は原子力安全に関する政府パネルを、検証プロセスが操作的で「非科学的」として、辞任した。
2007年、柏崎原子力発電所が地震に襲われたときのインタービューで、彼は、原発の技術的基準に根本的改善が必要で、それがないと日本は壊滅的災害を受けるだろう、と語った。今週も彼に電話インタビューしたが、彼は、「我々は何も学習しなかった」と言った。「原発は国策だから、それを厳密に検証するのを嫌がるのだ」。
確かに、これまで日本の記録は最悪ではなかった。IAEAは事故重大性を0から7までに等級化し、チェルノブイリ事故を最悪の7とし、今のところ原子炉が破裂していないとされている福島事故を、1979年に原子炉の部分的メルトダウンが起きたスリーマイル島事故と同じ等級の5とした。
「福島はチェルノブイリではない」と、IAEAの施設安全部の元部長ブロックマンは、その理由を説明した。「封じ込め容器は無事だった。悪いのは発電所の場所の選定だ」。
日本の第一次原発建設ラッシュが始まった1970代に建設されて40年を経た福島原発は、日本最悪の地震に耐えたが、その後に襲ってきた津波によって、電力や補助発電設備を破壊された。
原子炉を冷却する水を流すポンプを作動させる電気がなく、高まる圧力を減じるために、容器内の放射能を含んだ水蒸気を大気中へ放出した。原子炉の周囲で爆発が起き、容器を包む建屋のコンクリート壁を破壊した。
事故被害が拡大するにつれ、発電所周囲の放射能レベルが高まり、20万人が避難、さらに210キロも離れた人口3千万人の東京にも放射能が観測されるようになった。
「もしそれが機能していれば、大災害を防ぎ得たかもしれない」とされた補助ディーゼル発電機が地下にあったが、地下室は津波で破壊された。