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更新日:2011/04/25(月)

[コラム] 大今歩/今日の国家独占資本主義 大企業、大儲けのカラクリ

地上デジタル化によってゴミの山

全てのテレビ局が常時「この放送は今年7月には見られなくなります」と、地上テジタル放送への切り替えを視聴者に呼びかけている。アナログのテレビが十分見られるのにデシタル化によって今のアナログ放送を一方的に打ち切るのは、暴挙である。多くの人がそのことに不満を抱いていると思われるが、政府・官僚・財界(家電メーカーなど)、マスコミの癒着によって反対意見は抹殺されてきた。特にテレビ局と新聞社は同一資本であるため、批判は全く表面化しないのである。

ところが、この間政府は、エコポイント還元と称して買い換えを助成してきた。その結果、十分に使用できるテレビが大量に廃棄され、ゴミの山を築いてきた。「エコ」を装って大量消費を促しただけなのは、明らかである。

「エコカー」の燃費は偽装

1月22日朝日新聞夕刊は、「エコカー その燃費本当?」との記事を掲載している。記事によると、昨年の新車売り上げ第一位のトヨタのプリウスは、カタログにはガソリン1Lあたり38qとしているが、ユーザーの携帯電話サイト「e燃費」では1Lあたり21.7kmとしている。つまり、実際にはカタログの約57%の燃費でしかないわけである。国交省関係者も、@コンピューターのプログラムを調整、Aメーカーが用意したプロのドライバーが運転しているために実際の燃費と異なることを認めている。

このように、トヨタなどは「エコカー」を偽装してきた。ところが政府は、「エコカー」に買い換えれば最大25万円もの助成を行って、国民の税金を「エコカー」の自動車メーカーのために使ってきたのである。

途上国の未来を破壊する原発輸出

東芝など原発メーカーは、電力業界と一体となって中東や東南アジアに原発の輸出をすすめている。原発は、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故のような大災害を引き起こしかねないし、実際に相次いで事故が起きている。しかも放射性廃棄物処理の技術は確立していない。

そのため、住民の反対の強い日本国内では、新規原発はほとんど着工できない。危険な原発を海外に輸出することは、途上国の未来を破壊するものである。

ところが昨年10月31日、菅直人首相は、ベトナムのグェン・タン・ズン首相と会談し、100万kw級原発2基の建設を日本が受注することで合意した。その際ベトナムは日本に資金の貸付や放射性廃棄物の処理などを求め、菅首相はこれを受け入れたという。つまり、日本政府は原発メーカーのためにベトナムに原発を建て、廃棄物の処理まで引き受けるというのである。100万年の監視が必要とされる高レベル放射性廃棄物の処理を約束することは、将来に大きな負担を招く。

クライメートゲート事件

これまで見てきたエコポイント還元、「エコカー」割引、原発輸出は、いずれも「CO2による地球温暖化」対策として行われてきた。しかし「CO2による地球温暖化」そのものを疑わせる事件が発覚した。クライメートゲート事件である。CO2 排出規制を求めてきたIPCC(気候変動に関する政治間パネル)の基礎データがねつ造されていたことが、2009年11月判明した。人為的なデータ書き換えを行ったIPCCの関係者が「トリックを使い、気温低下を隠す作業を完了」とはしゃぐメールが大量に流出して、20世紀に入って気温が上昇したというグラフがねつ造であることがわかり、CO2による地球温暖化の決定的根拠は崩れた。この結果2010年2月、IPCCを仕切る国連気候変動枠組条約のトップであるイヴォデブア事務局長が、辞任を表明するに至った。ところが、鳩山由紀夫前首相は2020年までにCO2 25%削減を目標に掲げ、続く管政権も、クライメートゲート事件に素知らぬ顔をして「温暖化対策」として大企業に多額の予算をばらまいてきた。

国家独占資本主義の解明を

このように、疑惑の深い「CO2 温暖化防止」を旗印にして家電・自動車や原発メーカーは、政府と強く結びつきながら、国民の税金を湯水のように使って肥え太っている。

そして、未だに就職先の決まらない就活学生を尻目に東証一部の上場企業は、今期53%の増益を見込んでいる(2月11日「日経」) 。

今日ほど国家独占資本主義( 独占資本が国家機関を従属させ、最大限の利潤獲得の道具として資本主義体制を維持する機構「日本国語大辞典」) という概念がぴったりあてはまる時代はない。今日の国家独占資本主義の構造を解明して、あらゆる日本社会の分野から、これに抗する動きを合流させたい。

〈参考文献〉「原発輸出」明石昇二郎『世界』 2011.1 /「二酸化炭素温暖化説の崩壊」広瀬隆・集英社新書 2010 /「地球温暖化スキャンダル」スティーブン・モシャー他著・日本評論2020

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