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[海外] 「パレスチナ／パレスチナ文書とオバマ政権　狙いは「純血」ユダヤ人国家
──１月24日　『アルジャジーラ・ネット』　アリー・アブニーマ

「2国解決案」に、取り返しのつかない穴をあけたオバマ政権

パレスチナ文書（「アル・ジャジーラ』が暴露した中東和平交渉記録）で明らかになった驚くべきことの一つは、オバマ米大統領が、2003年以来「和平交渉」の基礎となっていたロードマップを、実質的に無効にしたことだ。

彼は、ブッシュ前政権が約束したことからも後退し、すでにボロボロになっている「2国解決案」に、取り返しのつかない穴をあけてしまった。

しかも、もっと悪いことに、人種的に純血な「ユダヤ人国家」にするために非ユダヤ人のパレスチナ系イスラエル国民の「民族浄化」という、危険なイスラエルの野望に対してドアを開いたのである。

オバマ政権は、発足以降、東エルサレムを含む西岸地区占領地での入植地建設の凍結をイスラエルに呼びかけた。ジョージ・ミッチェル米特使のシャトル外交が何カ月も続いた末、やっとオバマはイスラエルから、「エルサレムを除いて入植地建設の一部を、10カ月間一時停止する」という口約束を、引き出すことができた（訳注…その後イスラエルは口約束を守らず、オバマは、「エルサレムを除く西岸地区の入植地建設を90日間だけ凍結すれば、30億ドル相当の戦闘機を与える」という馬鹿げた提案をした）。

パレスチナ交渉団は、「1967年のグリーンラインを国境とするパレスチナ国家の樹立」を取り決め事項（ＴＯＲ）とする、という約束をミッチェルから引き出そうと、懸命であった。

しかし、イスラエルとパレスチナ交渉団の間で行われた会議で、ミッチェルは、「ブッシュ政権の約束は拘束的ではない」と主張した。それどころか、1948年に建国されたイスラエルとパレスチナが新国家の領土としたがっている西岸地区・ガザ回廊とを分ける1967年ラインをイスラエルが拒否している事実を3者（米国、イスラエル、パレスチナ）が黙認することを交渉の前提条件にするように、パレスチナに強要した。

族浄化を追認したオバマ

2009年9月23日、オバマは国連総会で、自分の目的は「2つの国が平和で安全に並びあって暮らすこと―一方は、すべてのイスラエル人が本当に安全に暮らせるユダヤ人イスラエル国、もう一方は、1967年に始まった占領が終わって誕生する、切れ目のない領土を持ち、パレスチナ人の可能性を実現させる、持続可能で独立したパレスチナ国である」と演説した。

オバマの「ユダヤ人国家イスラエル」発言に関連する事項として、イスラエルがアラブ系国民を追放する提案をしている。2008年、イスラエル交渉団―当時の外相ツィピ・リヴニを含む―は、イスラエル内のアラブ人村を未来のパレスチナ国家の領土に組み入れ、その代わりイスラエル領土を西岸地区へ拡大する、という「領土交換」を提案した。これは、アラブ系イスラエル国民や民主主義的ユダヤ人や反差別勢力が反対している民族浄化案である。（訳注：イスラエル内アラブ人は、大多数のイスラエル・ユダヤ人が移民してくるずっと前から、先祖代々その地で暮らしてきた人々であることを忘れてはならない）。

パレスチナ人は、オバマの国連演説に満足しなかった。翌日、米国国連代表部での会談で、「オバマ演説を和平交渉の枠組み（ＴＯＲ）にせよ」という米国の要請を、エレカトは拒否した。エレカトはミッチェル米特使に、国連演説でオバマがイスラエルをユダヤ人国家と公認しながら、１９６７年ラインを国境として認めなかったのは何故だ、と質問した。同文書によると、ミッチェルは、「交渉の枠組みや最終目標は、事前交渉できない」とし、パレスチナ側は無条件で「進んで」交渉に入ればよいのだ、と答えた。その時点でエレカトは、米国がロードマップを放棄したことを理解した。