[情報] 「TPP(環太平洋経済連携協定)では生きられない!」座談会
──報告・角田裕育
日本にメリットはないTPP
2月26日、明治大学にて「TPPでは生きられない!座談会」が開催された。会場は大変な盛況で、各地からの参加者も多く、立ち見での取材となった。
基調講演を行った中野剛志京都大学助教は、TPPの本質を「農業のみならず、金融・サービス等、あらゆるものをアメリカ主導で自由化しようとするもの」と説明し、実現したら「移民等の人の移動が起きる。結局は、低賃金労働者を増加させるものだ」とも語った。
また、アメリカ主導であることを特に問題視し、「アメリカはもうバブルの状態ではないし、TPPを実現することで、日本にメリットはない。そもそも、日本に有利なことをするなというのがTPPだ」と説明した。
中野助教は、「TPPを何かを分らずに推進しようとしている」と、菅政権の経済政策オンチぶりを批判。結果として、経団連に経済政策を依拠するようになった、と指摘した。
さらに中野助教は、「事業仕分けにしたって、選挙で選ばれた人がしたんじゃない。言っちゃ悪いが、どっかの兄ちゃんですよ。モルガンスタンレー(アメリカの金融持株会社。投資銀行業や機関投資家向け証券業が有名)の人なんかがいたんですから」と、民主党政治家やブレーンの無能さが、TPPをよく理解しないまま政府が推進している原因になっている、と指摘した。
海外からの参加者もいた。韓国・全国農民会総連盟の郭吉子政策局長が講演を行った。郭さんは、「韓国農家では、あまりTPPについて知られていない」と言うが、「ただでさえ、韓国政府がアメリカと推進したEUとの自由貿易協定(FTA)によって、韓国の食料自給率は急激に低下している。これを懸念している市民が多く、政府との闘争が継続している」と。また、韓国の農業が尋常ならざる勢いで破壊されていることを語り、「韓国の農家は、政府に農政を期待しない人がほとんどだ」と農村の現状を説明。「韓国にも新自由主義やグローバリズムの流れがあることが原因」としめくくった。
その他にも各地から集まった農民運動家などが、「こんなことをやる政治家に票を入れるのは止めよう」という訴えなどもあった。
講演終了後は、明治大学近所の公園からデモ出発し、TPP反対を街頭で訴え、経団連本部に訴えを手渡した。