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▲カイロ・タハリール広場に集まった民衆(1/31)
更新日:2011/03/14(月)

[海外] 中東支配の大きな柱を失いつつある米国
──脇浜義明

ムバラク大統領は退陣せよ!」─エジプト抗議デモ

チュニジアに続いてエジプトでも民衆が街頭に躍り出た(エジプトの民衆抵抗はスーダンの民衆にも刺激と与え、デモと治安部隊の間で騒動が起きている模様)。1977年の大衆抗議では、サダトは、一方で食料品価格を下げて飢えた人々をなだめ、他方で逮捕と拷問という、アメとムチで乗り切った。警官の反乱に対しては、ムバラクは力による弾圧で抑えた。

しかし、今回の民衆の怒りの爆発では、ムバラク政権はもたないかもしれないと、中東問題専門のジャーナリスト、ロバート・フィスクが予言している。すでに、ムバラクを側近で支えていた顧問の一人が、現金をスーツケース97個に詰めてロンドンへ逃げたという。

エジプトや中東ではイスラム主義による堕落した世俗政権への反乱が多いが、フィスクは今回の暴動について、「これはイスラムの反乱─そうなる可能性は少しはあるが─ではなく、ムスリム同胞団のお定まりの演説を除けば、これは数十年にわたる失政と屈辱に苦しんできた民衆の抗議である」(Znet)と言っている。エジプト農民はあまり革命的とはいえないが(ナイル沿岸の豊かな農業地帯の農民にはムバラク支持が多い)、経済自由化で村を追われて大都市へ出てきた部分は、スラムと失業しか得るものがなく、大学を出ても得るのは学位だけで仕事がないという状態。

イスラム主義の反乱に特徴的な、「外国人排除」が今回のデモにはない。むしろ、外国メディアの取材活動を権力の妨害から守るぐらいであった(チュニジアのデモでも、日本のテレビに対しデモ群集が「我々のことを日本の人々に伝えてくれ」と、好意的に接するシーンがあった)。星条旗が燃やされなかったのは、やや残念だが…。イスラム主義よりもややエジプト民族主義的傾向が感じられる、とフィスクは感想を述べている。

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