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▲パレスチナ和平交渉団長のサエブ・エレカト氏 西岸にあるオフラ入植地
更新日:2011/03/14(月)

[海外] パレスチナ和平交渉極秘外交文書暴露 一方的譲歩迫るイスラエル
──脇浜義明

@国境線は現状が基準、A入植地も認めろ、Bパレスチナ軍は認めない

『アルジャジーラ』は、複数の情報源から外交文書を入手して発表した。「パレスチナ文書」と言われるもので、それによると、2008年の和平交渉では、パレスチナ自治政府が東エルサレムのユダヤ人入植地を容認するなど、大幅な譲歩を提案していることが判明して、問題となっている。

文書は1600件以上あるが、一例として、1967年国境に関する交渉を引用すると──。

ウディ・デケル(イスラエル側)…ご存知のように、交渉の指針原則は国連安保理決議242号で、それはイスラエルの安全を保障する国境の設定だ。それは、ブッシュ大統領の書簡にあるように、実際の状態に合うものであるべきだ。

サミ・アル・アベド(パレスチナ側)…1967年当時の状態か、今の状態か?

デケル…現状のことだ…これに関しては議論しない。既成事実を変えることはできないからだ。1967年ラインは、基準にならない。第一それがどこを走っていたかは、正確に分からない。

アベド…イスラエルも署名した地図がある。

デケル…しかしそれは、現状とまったく一致していない。

アベド…1967年ラインがだめなら、何を基準とするのか。

デケル…言っただろう、現状が基準だ。

◆  ◆

この例から分かるように、和平交渉ではイスラエルは何一つ譲歩していない。イスラエルにとって和平とは、自爆テロなどに対する「イスラエルの安全」のことで、パレスチナ国家樹立には、まるで関心がない。米・イスラエルは、パレスチナ国家樹立の必要条件要件として、自治政府に対イスラエル抵抗の取り締まりや、「テロリスト」の逮捕・殺害を一方的に要求している。

2008年のエルサレムでの三者交渉では、自治政府は、新国家はイスラエルの脅威となるような国軍は持たず、イスラエルが「共通の関心事」とする法と秩序を守るための治安部隊だけにする、と妥協案を出した。国軍を持たない代わりに第三国の軍隊の駐留を求めたが、イスラエル側は、「駐留軍の意図は、パレスチナ国家をヨルダンやエジプトからではなく、イスラエルから守ることにある」として、それを拒否した。

他にも、イスラエル外務大臣リヴニが、「入植地があるところはすべてイスラエル領とする」と主張して、当時のライス国務長官がそれを支持する場面があったり、パレスチナの代表サエル・エレカトがエルサレムをヘブライ名の「イエルシャライム」を使って表現する場面もあり、入植地とエルサレムでの譲歩が目立つ和平交渉の内容である。

いずれにせよ、この文書から引き出せる結論は、《二国解決案はもう終わった》ということであろう。

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