[コラム] 五味正彦/クイズを交えた地域おこし・仕事おこしのトーク
日本列島全体がアホになっている、現在
つい先日、年が明けてから、都内のある大学に呼ばれ、1960年代後半からはじまるミニコミの歴史、70年設立したミニコミ書店模索舎のこと、プラス今私が提案している、エコ的、地産地消的、循環型のものづくり・地域おこし・仕事おこし等をトークした。
ミニコミがはじまった頃、模索舎ができた頃の話は、この欄で何度か報告した。よって今回は、後半の話を中心に書いてみよう。
この大学での講座だけでなく、このテーマで話をせよ、という要望がふえ、昨年いろいろな相手や場所でしゃべった気がする。
背景は、日本の経済と暮らしの閉塞感と、失業、仕事がない、地域に元気がないことだと思う。
もちろん、私ごときにそんな大それた解決策のあるはずもないが、スキマでよければ、皆が注目していない、工夫・プランならいくらでもある。講座というか、トークを引き受ける時、条件をつける。
・少人数50名以下。講師が一段高い場所にいるのは、なし。
・黒板か白板は用意してもらい、私がしゃべりながら書けること。
・参加者は、後半に時間をとって質問・意見を言うのではなく、いつでも割り込んでもらえること。そのかわり、全体双方向のやりとりで、こちらからも質問、クイズをどんどん出せること。講師の質は問われるが、一方通行の話より、参加者が持ち帰るものは多い。
実は、1975年、大イベントの主催者を絶対やらないと決めて(それまでは1万人、10万人集会の主催者や司会を東京でなん度もやってきたが、やめた)以降、ずっと基本的にこの方式でしゃべっている。
この大学ではちょっと反応が悪かったが、今までのトークの反応を書いてみる。「TPPが話題になってるが、経済を前提にした日本の特徴は?」─答えは「@少資源→輸入→加工→輸出」「A勤勉さ」。参加者の男女・老若・左右(ある種の思想)関係なく、90%くらいがこれだ。ここ数年のトークで質問すると、ほとんどこうなる。
今やと思う。実はこれって、自分で考えたのではなくて、何も考えず何も見ず、スリ込まれた情報で答えているだけなのだ。
さて私の答えは、@この先加工・貿易でうまくやっていけますか? 相手の韓国・中国・インド・ベトナム・インドネシアなどに勝てますか? そういう考え方を一度忘れて、この日本列島の江戸時代、“坂の上”へ行かない普通の人、敗戦後の1970年くらいまでの暮らし、知ってる人は思い出そう、生まれる前の人は、親やジジババに聞いた話、本で読んだことで考えよう…そう、スリ込みではなく自分の頭で考えるのは大変重要。
そして、参加者に重要なクイズ。この日本列島は資源がないのではなく、世界に誇る、羨ましがられるトップクラスの自然的資源が5つはある。さて、それは何だろう…?
2年だけでも50人×20回、1000人にしゃべったとして、すぐ答えた人は約2名、@は「水」なんです。あとの4つは編集部と読者へのクイズです。うち2つは、人の手が加わる。そして、全て水がキーワード。
A勤勉さとは、いつも体を、手足を動かし、頭を使い、工夫する生活と仕事をすることだと思う。とまず先入観をなくしてもらい、私のオルタナティブでニッチな仕事おこし論ははじまる。こんな調子で私が出した“食・農・環境”周辺のクイズは、100問を越えた。今、子ども相手の“食・農・環境”クイズもつくっている。こちらの方が苦労しているが、楽しい。