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▲支援船「サラーム号」の入港にわくキャラバン参加者たち(シリア・ラタキア港/2010.12.30)

▲トルコでの受け入れ現場リーダーのクルド人(マイクを持つ人)、空路でエジプトに向かった112名とは別に、支援船に乗った8名は、4台の救急車を運転し、医薬品とともにガザに到着した
更新日:2011/02/01(火)

[海外] ガザ支援アジアキャラバン 支援物資と共にガザ入り果たす!
──阪口浩一(本紙特派員)

米国の圧力とエジプト政府の妨害

昨年12月2日、アジアから初となる「ガザ支援キャラバン」が出発した。インド・ニューデリーを起点に、陸路パキスタン、アフガニスタン、イランなど7カ国を経由してトルコへ。トルコから海路イスラエルによるガザ海上封鎖の突破を目指すというものだ。

総勢180名のキャラバン隊は、各地で熱烈な歓迎を受けた。イランでは質の高い番組づくりで人気がある「ラーズ」(秘密)に生出演し、テヘラン大学での歓迎式典には、アフマディネジャド大統領が飛び入り参加したという。

こうしてキャラバン隊は参加者を増やしながら、1月4日、見事ガザ入りを果たし支援物資を送り届けた。本紙特派員としてキャラバンに同行取材した阪口浩一からのレポート第1弾を掲載する。次号以降、キャラバンで出会った連帯活動家の素顔などを連載していく。(編集部)

◆  ◆

欧米を中心に組織されてきた、ガザ支援の非暴力直接行動。それらに呼応する形で、今回、アジアから初となるガザ支援キャラバンが呼びかけられ、1月4日に無事ガザ入りを果たしました。

届けられた支援物資は、医療・医薬品の他に、基礎食料品としての砂糖、塩、米、小麦、そして子どもたちへの遊具と文房具類が含まれています。総重量約170トン、総額およそ100万米ドル相当です。

キャラバン隊は、シリア北部の港町ラタキアから、救援物資積載の貨物船に乗り込んだ8名が元旦に先発。残りの112名は、1月2日に首都ダマスカスからエジプトのアル・アリーシュへ、飛行機で向かいました。

空路の112名は、1月3日深夜にガザ到着。しかし、救援物資と共に貨物船に乗り込んだ残り8名のメンバーは、エジプト当局によって、理由が開示されることなく、30時間以上、海上に停泊させられました。さらにアル・アリーシュ港入港後も、荷受け会社の詐欺行為と怠慢な作業によって、大幅に遅延しました。

キャラバン隊に対するエジプト政府発行のビザとラファ国境通行許可証は、メンバー全員に対する一括交付で、ガザ滞在日数は3泊に限定されました。このため、貨物船に乗船した8名のガザ入国は一時、危ぶまれる状況に発展。

その後、8名のキャラバンメンバーが知恵を出し合い、力を合わせて当局と交渉。最後には、支援物資の救急車輛4台を自力で運転しながら、1月4日午後9時半過ぎにガザ入りを果たしました。

当初、ガザ支援行動経験者やガザのパレスティナ人関係者は、「メンバーと支援物資が分離されているため、過去の経験則から判断すると、支援物資がガザに届かないのではないか?」と懸念していました。

しかし、貨物船乗船メンバーの踏ん張りによって、まず医療・医薬品がラファを通過してガザに搬入。残りの救援物資も、IHH(トルコの国連公認の国際支援NGO。昨年5月31日に9名の乗船者がイスラエル軍により殺された「マブィ・マルマラ号」の主催団体)やパレスティナ・ガザ政府の働きかけで、8割方、ガザに運び込まれたことが確認されています。

キャラバン支えたイランの援助

ガザ支援パレスティナ連帯アジアキャラバン(以下、「アジアキャラバン」)は、12月2日にインドのデリーにある故マハトマ・ガンジー聖廟を出発。

パキスタン、イラン、トルコ、シリア、レバノン、エジプトを踏破しながら、1月4日にガザに入りました。参加者は、インドネシア、マレーシア、インド、ネパール、パキスタン、イラン、トルコ、シリア、レバノン、ヨルダン、英国、米国、アゼルバイジャン、バハーレーン、日本の15ヵ国。のべ180名にのぼりました。ところが、エジプト政府からアジアキャラバン隊受け入れのために出された交換条件によって、イラン人参加者及び他のメンバー約20名はガザ入りを諦めなければなりませんでした。

エジプト政府から出されたキャラバン隊受け入れ条件は、総人数を120名に抑えること。そしてイラン人参加者の入国拒否です。こんな場合に、「何故?」との問いは意味をなしません。「国家安全上の機密ゆえ」と足蹴にされるのみです。

120名枠は、「キャラバンに最初から参加しているメンバーを優先する」とのキャラバン実行委の合意のもと、ヨルダンからの参加者が人数を制限されました。そして、名指しで入国を拒否されたイラン人参加者たちです。そこには親米・親イスラエルというムバラク政権の外交姿勢が色濃く反映されています。

アメリカによって、“悪の枢軸”と名指しされるイラン。極東にも同じ名で名指しされている国がありますが、決定的に異なることは、イランが産油国であり、イスラム圏であるということです。

イランは、歴史的にもペルシャ文明発祥の地として栄えた大国です。アメリカが主導する経済制裁下にありながらも、確実な経済成長を遂げています。そして、イスラム教徒の同胞意識は、アメリカが圧力をかけても、押し留めることなどできません。

今回のアジアキャラバンは、イランからの公私にわたるサポートがなければ、決して成立しませんでした。1979年の革命以来、パレスティナ問題解決のために専門省庁を置くイラン。それに留まらず、国会議員たちは給料の一部をカンパとして供出してくれました。裏方のボランティアたちの昼夜を問わず奔走してくれる姿も、忘れることはできません。

イランに入国してからの各地での歓迎ぶりに、ホスピタリティを誤解して、自分たちが何か特別な存在かのように勘違いを始めた一部のキャラバン参加者たちの、無理難題な要求に対しても、感情を荒立てずに笑顔で接していたイラン人たち。

ガザ入り目前になっての入国拒否に対して、言葉にならない複雑な思いだったはずですが、変わることなく、柔らかな笑顔を浮かべながら、キャラバン中の写真をネットに送り続けています。

続きは本紙 【月3回発行】 にて。購読方法はこちらです。
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