[政治] 沖縄知事選 「反基地」貫く伊波氏か「条件付き容認」の現職か
山内徳信さん(参議院議員)に聞く
98年の沖縄県知事選では、「東京とワシントンに従順な候補者を当選させよ」とばかりに、内閣官房機密費から3億円が使われたという。橋本内閣で沖縄開発庁長官を務めた鈴木宗男氏が、琉球新報の取材に対し、「保守系の稲嶺候補の陣営に、機密費から3億円が渡された」と証言している。選挙は自民党が推す稲嶺氏が、革新系の現職・大田昌秀知事を破って当選した。
11月28日に行われる知事選挙では、稲嶺氏の後継者・現職の仲井眞弘多氏と、社民党、共産党、沖縄社会大衆党が推す伊波洋一氏の闘いとなっている。「今回の知事選は、脱基地を目指す県政をつくるのか、それとも戦後65年も押し付けられた米軍基地の負担と重圧を継続する県政にするのか、だ」と伊波氏は主張するが、仲井眞氏も「県内移設は不可能」と辺野古移設には否定的な見解を示し、争点が見え辛くなっている。
「今回の県知事選は、民意を無視する政治と決別する選挙である」と訴える山内徳信参院議員に、知事選の争点・辺野古を拒否した先の将来展望などを聞いた。(文責・編集部)
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── 伊波さんと仲井眞さんの相違点は?
山内…仲井眞知事は、辺野古基地建設について「条件付き容認」のスタンスで、「県内移設反対」を明言したことはない。元通産官僚で、政府から押し付けられると、それをはね返す信念の人とは思えない。政府の出方次第では、どうなるか不安がある。県民にとって不安のある人物に、次の知事の座も任せるわけにはいかない。
県議会で知事与党が少数与党になったこと、名護市長選、沖縄県民大会、名護市議選で情勢が変わったため、知事は選挙目当ての「争点ぼかし」をしているだけだ。
一方、伊波さんは一貫して「沖縄に新たな基地は作らせない」と訴え続けており、反基地のスタンスが明確だ。知事選においても、米海兵隊の普天間基地のグアム移転計画の資料を明らかにした上で、「グアム移転が実現性のある最善の策である」と、グアム移転案を強力に推し進めている。
── 「県内移設反対」は、結果として普天間基地の固定化にならないか?
山内…沖縄県民が「基地の県内移設反対」というのは、これまでの様々な基地負担に耐えかねて言っているのだ。政府が沖縄の基地撤去を実現しようとしないならば、県民の怒りは普天間基地だけではなく、他の基地にも波及するだろう。今後、日米政府が普天間移設の約束を反故にするなら、「島ぐるみの反基地闘争」が展開されるだろう。そうなれば、米軍基地の存在がますます困難になる。