[情報] 雇用における年齢差別を問う 「一方的な定年導入は無効!」
──名古屋ふれあいユニオン運営委員長・酒井徹
津地裁が63歳従業員の地位を認める
「ユニオンみえ」(三重一般労働組合)の組合員・Mさん(63歳)が、「自分が60歳になった後で、一方的に《60歳定年制》を導入され、退職させられたのは不当である」として、四日市市の不動産業者を訴えていた事件で、9月27日、津地方裁判所四日市支部はMさんの主張を認め、従業員としての地位を認める判決を言い渡した。
後付けの「定年制導入」で失職
Mさんは、1998年に51歳で名泗コンサルタントに入社。翌99年には宅地建物取引責任者の資格を取り、登録した。
当時、会社に就業規則はなく、労働条件を書面化した文書も作成されていなかった。Mさんは、2007年7月に60歳の誕生日を迎えたが、会社に定年の規定はなく、そのまま働き続けた。
ところが、同年10月18日、会社は朝のミーティングで従業員に対し、「社内規定の通知」を公表した。そこには、「定年期日」を「満60歳までの誕生日」としており、定年後再雇用についても、「条件は、面接により個々の内容を決定」「再雇用者の地位は、面接により決定し、1年契約」「合意が成立しない場合は、定年時に退社」などとあった。
こうしてMさんは、同年11月20日付で会社を退職したものとされてしまった。
会社側は、裁判で「『定年制』の実質は、いわば『退職勧奨の制度化』」であり、Mさんが「再雇用を求める意思は全くない」と答えたとして、「労働契約の合意退職である」と主張した。
会社主張は「いかにも無理が大きい」
津地裁四日市支部は、次のように明確な判決を出した。
《再雇用について、本件規定には、再雇用されることが原則であるとの記載はない。これを、被告(企業)の主張するような『退職勧奨の制度化』と理解することには、いかにも無理が大きい。本件労働契約の終了原因は、『定年退職』又は『定年解雇』と評するべきものである。》
こうして津地裁四日市支部は、Mさんの従業員としての地位を認め、会社側に07年から判決確定の日までの賃金+年間6%の利息を支払う判決を下したのだ。