人民新聞オンライン

タイトル 人民新聞ロゴ 最新版 1部150円 購読料半年間3,000円 郵便振替口座 00950-4-88555┃購読申込・問合せはこちらまで┃人民新聞社┃TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441┃Mailto:people@jimmin.com
反貧困社会編集一言政治海外情報投書コラムサイトについてリンク過去記事
更新日:2010/11/19(金)

[コラム] 栗田隆子/その一歩をどうやって踏み出す?

運動入門一歩前

「運動入門一歩前」というタイトルで文章を書き続けてきたが、どう考えても運動入門からその先の一歩を踏み越えてしまった感が否めない。デモでシュプレヒコールあげている人間が、運動入門一歩前と言って己のことを語り続けるというのは、さすがに「厚顔」かなと思う今日この頃である。

では、ちゃんと実りのある一歩が踏み出せているかどうか。問題はそこだ。

結婚もしていないし、キャリアで働くこともできない私が、そもそもどうやって生きていくんだ?という思いがあったし、問題とすらされていなかったし、手がかりも何もないからこそ、その思いを表現しなければ、と思った。フリーターズフリーをはじめ、その問いを含む数々のメディアや場所で打ち出せたことは感謝するのみだ。そこに後悔はない。だけど、いまここにきて私は迷っている。

まず、運動と一口に言っても、いろいろな「スタイル」で人々が行っているということが分かってきた。それこそ過労死で死にそうな正社員も、非正規労働者も、皆同じ社会の構造の問題なのだ、と言うならば、その構造を明らかにした上で、どんなやり方で構造を変えていくのか。法制度の整備を強く訴えることに力を入れ、国連などに行ったり国会でロビイングする方法、相談業務を重視する方法、当事者同士の交流を重視する方法、まず何より自分がはじけることを求める方法…いや、ほんとうはこれら全ては別に否定されるものではなく、バランスよく進むことこそが一番だと思うのだが、このバランスがよくわからないのだ。

また、例えば「女性差別」や「労働問題」といっても、何をもって「解決」と考えるか。「運動のための運動」ではないとするならば、「解決」というものをどう捉えるのかがカギとなる。

労働問題ならば、それこそ「正社員」になることを解決と捉えるのか、「正社員・非正社員」という枠をなくすことを解決と捉えるのかで、全然問題へのアプローチが変わってくる。また、「労働問題」といっても、その「労働」をどのように捉えるかでも運動の作り方が変わってくる。「労働」というものを、皆が参加する権利のある「よきもの」として捉えるのか、それこそ人々から搾取をしていく「暴力装置」として捉えるのか、はたまたその両面があると考えるのか。

その考え方によっても、運動の作り方は変わっていくはずで、「私たち自身が、希望のもてる社会に生まれ変わっていくための、政治や社会に対する具体的な提案や働きかけを怠ってはいなかったか。意見や立場が異なる人たちの話に耳を傾け、互いに理解し、協力しあう努力を怠ってはこなかったか」とあるのは、10月16日に行われた反貧困世直し一揆の集会宣言の一部だが、これはほんとうに言うは易し、行うは難しというものだ。

しかも、意見が異なる人同士が、《一方的に理解する─される》ではなく、相互に対等に理解するというのは、運動だからこそ困難という場合だってある。これが常に運動の中でできていたなら、運動内のさまざまな「パージ(排除)」が行われるわけないのだから。

私は今、岐路に立っている。「女性への差別が無くなる」とはどういう状態を指すのか、労働とはいかなるものと捉えているのか、自分なりの決断をつけなければいけない。そして、そこから異なるものを理解するということ、それがまず運動の一歩と思う今日この頃である。

続きは本紙 【月3回発行】 にて。購読方法はこちらです。
[HOME]>[ コラム ]


人民新聞社 本社 〒552-0023 大阪市港区港晴3-3-18 2F
TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441 Mailto:people@jimmin.com
Copyright Jimmin Shimbun. All Rights Reserved.