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図1 図2
更新日:2010/11/19(金)

[情報] 未来のない原発ビジネスが活発化する理由 それは「米国の圧力と金儲けのためだ」

日本政府と原子力業界(東芝・三菱・日立)あげての原発推進

未来マンガの傑作と言えば「鉄腕アトム」。小さな体に埋め込まれた原子力の力で100万馬力を出し、人類を助ける。しかし、こうした未来世界が原子力によって生み出されることはないようだ。理由は、ウランがあまりに貧弱でエネルギー源にはなり得ないという事実だけで十分だ。

「原発=クリーンエネルギー」という宣伝が大うそである根拠は、くり返し提示してきた。それでも「原発ルネッサンス」などというウソがはびこらる理由は何なのか? 京大原子炉研究所の小出裕章さんに聞いた。(文責・編集部)

貧弱すぎるウラン埋蔵量

「原子力は、石油・石炭がなくなった後の莫大なエネルギー源になる」と、私も思ったのですが、全く当てが外れました。4つの理由があります。

まず、@原子力の燃料であるウランの埋蔵量は、エネルギー換算して石油の数分の一、石炭と比較すると数十分の一しかありません(図1)。この埋蔵量では、化石燃料がなくなる前にウランを使い切ってしまうので、石油・石炭に代わるエネルギー源にはなり得ません。

次に原発は、A思ったよりも費用がかかり、原発による電気代は割高になることもわかってきました。建設費に加えて、安全対策を含むランニングコストも膨大で、廃棄処理コストに至っては、どれ程かかるかわからない状態です。経済性もないのです。

さらに、B事故が頻発し、やればやるほど原発は安全に管理することが非常に困難な技術であることもわかってきました。

最後に、C仮に安全に運転できても、生み出され続ける放射能を無害化する技術を、現代科学はついに見つけ出すことができていません。日本だけでも、すでに広島原爆120万発分に達する核分裂生成物を生み出してしまいました。廃炉後の膨大な放射能汚染物質も含めて、どう安全に管理するのか、全くめどが立っていません。こうした本質的な欠陥が明らかになってきたのです。

このため、欧米諸国は、90年代に次々と原発から撤退しました(図2)。先日、ドイツのメルケル首相が原発再開を表明しましたが、すぐさま10万人規模の抗議デモが起きました。《原発が石油に代わるエネルギー源にはなり得ない》ことを、欧米諸国政府も国民も皆知り、見切りをつけているのです。

実は、日本も例外ではありません。政府方針で、1970年以降、毎年2基づつ建設し続けましたが、90年頃から、先に述べた原発の根本的欠陥を克服できないことが明らかになり、建設ペースは、ガタ落ちとなります。欧米より20年遅れて、日本の原発メーカーも「原発には未来がない」ことを、十分認識したのです。

「原発ルネッサンス」の虚実

では、なぜ「原発ルネッサンス」がまことしやかに語られ、中国・インド他への原発売り込みが加熱しているのでしょうか? これこそ「原発産業」に群がる人々が生き残るための、「大規模な営業宣伝」と言わなければならないでしょう。日本での主役は、東芝・三菱・日立という財閥系企業です。「地球温暖化」が利用され、「原発=クリーンエネルギー」という大ウソが大量にばらまかれているのです。

こうした中、原発輸出が民主党政権を挙げて推進されようとしています。必死の生き残りにしのぎを削る原発メーカーの、原発売り込みの熾烈さをみてみましょう。

日本の原発メーカーは、2派に分かれて出発しました。三菱重工は、米国のWH(ウエスティングハウス)社から加圧水型の技術を導入し、日立と東芝は、GE(ゼネラルエレクトリック)社から沸騰水型を導入し、開発が始まりました。

しかし、先ほど述べた原発の根本的欠陥が明らかになり、WH社とGE社は、見切りをつけて生産ラインを全て廃棄し、ライセンスの販売だけで生き残ろうとしています。両社は、このライセンス料を中国とインドに売りつけるという道を残して、撤退の道を歩み始めているのです。

現在世界には、欧・米・日本を中心に約430基の原発が稼働していますが、耐用年数を越えるため、次々と廃炉になっていきます。「先進国」での新規建設は、廃棄分を補うことすらできないでしょう。ですから、原発が復興するなんてことはあり得ないことです。「ただ、中国・インドに限れば、10〜20基程度は建設するかもしれない」というレベルです。

熾烈な売り込み競争東芝の大きな賭

この数十基をめぐって、原発メーカー各社が、熾烈な売り込み競争を展開しています。世界の原発は「加圧水型」が主流なので、東芝がWH社を買収したのも、世界的にはほとんど実績のない「沸騰水型」では、受注競争に勝てないと見て、約6000億円を投じて加圧水型の技術を取得した、というのが実際です。東芝が持つ生産ラインを維持するための大博打です。

困ったのは、WH社にくっついてきた三菱です。東芝の風下に立つか、撤退か、を迫られ、フランスのアレバという原子力企業と提携して加圧水型軽水炉のライセンスを取得し、東芝に対抗しています。

販売競争は、世界的に展開しています。UIAの原発は、官民一体となった売り込みと大幅なダンピングで韓国が受注し、ベトナムの原発は、軍事転用技術も込みでロシアが受注する、というように、新規参入もあり、競争は非常に厳しいものになっています。

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