[海外] ラテン・アメリカと21世紀社会主義 ネオ・リベの正当性とブルジョア民主主義の威信が崩壊
──『マンスリー・レビュー』7・8月号 マルタ・ハルネッカー(チリの社会学者、ジャーナリスト、活動家女性)/翻訳・脇浜義明
正当性を失ったネオ・リベラリズム
ネオ・リベラリズムは、ラテン・アメリカ諸国が直面していた深刻な問題をいっそう悪化させたため、正当性を失った。南米大陸を風靡したネオ・リベラリズムの終わりが訪れた。
エミール・サデル(ブラジルの経済学者)は、ラテン・アメリカで「ヘゲモニー危機」が起きていると言う。
残された道は2つしかない。@資本主義を改造するか、それとも、A利潤追求論理でなく人間的必要を満たし、少数のエリートでなく圧倒的多数の人民の利益になるような経済発展をもたらし、ヒューマニズムと連帯論理に基づくオールタナティブな体制へ向かうか、である。
ネオ・リベラル経済モデルの破綻は、ブルジョア民主主義の信憑性にもマイナスの影響をおよぼした。人々の信用を失ったのだ。
1998年の世論調査によると、民主主義制度に満足している民衆は37%にすぎず、ベネズエラでは35%であった。その後2007年までラテン・アメリカの平均は37%のままであったが、ベネズエラでは59%、08年の世論調査では、満足度は82%に上昇した。左派政府の政策が結果を出し始めたのに平行して、人々の民主主義制度に関する意見が変化し始めたのだ。
帝国の反撃:再植民地化と懲罰
しかし、米国は張子の虎ではない。ラテン・アメリカにおける経済的影響力の挽回を狙って、米国はメディアと軍部の力を活用している。
現在南米大陸には23の米軍基地があり、毎年合同演習を行っている。第4艦隊(カリブ海域・中南米に展開)の動きは活発になり、大衆運動への監視、諜報活動が拡大している。米国は、ラテンアメリカ諸国を隷属させる支配への抵抗をつぶす目的で、米国に忠実で、米の橋頭保となるコロンビアに巨額の軍事援助を行ってきたのだ。
この2年間のラテン・アメリカ諸国の反米帝左傾化に対する巻き返してとして、ペンタゴンは「南米大陸再植民地化と懲罰」計画を決定した。チャベスによって弾みをつけられた自由・独立ラテン・アメリカ創設運動を止め、それを逆行させるのが目的だ。