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更新日:2010/11/15(月)

[コラム] 五味正彦/かつて発行されたミニコミはどこで見れる?

“ミニコミ”とは何か

8月5日号のこの欄で、 @「どんなミニコミがあったのか?」、A「今、どこで見ることができるのか?」、という質問を受けることが多い、と書いた。

@の問いについては、とりあえず、こんなミニコミがあったということがわかる本(パンフ)を3点紹介した。で、今回はAの問いへの回答をするつもりだ。

まず、“ミニコミ”とは何か、ということだ。原点は60年安保だ。国を二分する意志と行動と、混乱に対し、新聞大手7社が共同社説を出す。当時のマスコミとは新聞であり、週刊誌の時代もテレビの時代も、5〜10年後の話だ。

このことに政治的・社会的・文化的に危機感を持った、当時の革新的文化人・知識人も少なくなかったようだ。代表的なのは、日高六郎・鶴見俊輔・竹内好等。対抗して市民のメディア・ミニコミの必要性を考え、主張した。

しかし’60年当時、彼らの考えるようなミニコミは、周りを見てもなく、期待したようには作られなかった。たった一つ、「声なき声の会」のたより以外には。そして65年にはベ平連ができ、ニュースも発行される。

もう一つ、東京から遠く離れた九州の水俣・熊本で、水俣病を告発するミニコミやパンフが次々出されていた。60年代からそんな出版物が次々出たのは、実は九州福岡の炭鉱合理化への闘争、その中で、「サークル村」という文化運動、ミニコミづくりの影響がある、と私は考えている。

サークル村の中心は谷川雁、同人に石牟礼道子・河野信子・森崎和江などがいたと言えば、水俣との関連もわかろう。

「声なき声のたより」「ベ平連ニュース」「水俣闘争のミニコミ群」─この3つを私は長年、ミニコミ界の特別な存在、ミニコミのエリートと考えていた。

これら3つを別格にすると、’60年以前にはいわゆる “ミニコミ” はない。もちろん、文芸同人誌、学校新聞やPTA通信、そして古くからあった「銀座百点」的な古典的タウン誌はともかく、これらは60年安保を機に待望されたミニコミではない。

そしてそのようなミニコミの多くは、’67〜68年から始まる、というのが私論。人民新聞の前身、「新左翼」紙も、その頃ですよね。ただし最初の印象は、はっきり言って、’50年代的旧々左翼紙。それが“新”とはビックリでした。でもどんどん内容が良くなり、特につい最近の宮崎口蹄疫特集はまさに最高。貧困や麻生邸ウォッチング、BI(ベーシック・インカム)問題など、今や、市民派・人民派・社会派・貧困テーマの新聞は本紙と東京の婦人民主クラブの「ふぇみん」しか、と思う昨今です。

さて本題。ミニコミの現物はどこにあるか? 答えは3つ。

@全国のいろんな運動体センター(だったところ)に残されている。

A立教大学共生社会研究センター。元々埼玉大学が収集した住民・市民運動のミニコミ約23万点(タイトル数ではなく冊数)が移ってきた。

B東京・多摩地域を基に、全国のミニコミを集めてきた機構が、石原都政によりつぶされ、その資料500箱が今、市民の手で保管されている。私も含め、これを何とか再公開(プラス新しいミニコミも)したいという運動がある。この10月31日に、東京・立川の柴崎学習館で「ミニコミ・トークイン」というイベントを行い、広く知ってもらいたいと思っている。主催は「市民活動資料・情報センターをつくる会」(TEL・042-540-1663)。

ABともに、引き続き新しいミニコミを集めている。

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