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更新日:2010/11/15(月)

[コラム] 小林忍/領土紛争を煽るメディアの犯罪

かき消される「沖縄の声」

「我が国固有の領土」なるものは、地球上のどこにもない。

幾多の国が建ち、滅びてきた。ヨーロッパでは、未だに「国境線」が変動し続けている。チリ製地図では、南極の4分の1ほどが「チリ領土」となっている。「チリ南極領海」で「国内法を粛々」とやられたら、日本漁船は元より、国際社会は何と言うか。

日本が近代国家入りした明治初期。北海道の「和人入植地」は函館と札幌周辺だけ。他は「アイヌの大地」だった。そこを無地主地として盗みあげ、アイヌ人は「旧土人」とされ、「和名」を強制された。これも「固有の領土」だ。

1894年、日清戦争が始まる。欧米の中国侵略に日本も加わり、朝鮮を支配下に置いた。日清戦争終末期の1895年1月、日本は尖閣諸島を「沖縄県石垣村」の所轄とする。3ヵ月後の4月、戦争に勝利した日本は台湾、遼東半島を中国から奪い、日本領土とした。尖閣諸島は「日清戦争下で日本になった」のだ。

太平洋戦争が始まる1941年、尖閣諸島の管轄が沖縄から日本国台湾の台北州に移される。台湾人漁船は「日本国籍台湾人漁民」、つまり「日本領土」での「日本国民」の操業となっていた。

戦後は、沖縄を占領した米軍の管轄下で射爆場とされ、72年に沖縄の一部として「返還」された。

民主党政権への期待を裏切られた沖縄では今年、「沖縄独立」の声が上がり始めた。「我が国固有の領土」なる意見は、「独立拒否」の支配継続宣言でもある。

対中強硬策を煽るメデイアによって、「沖縄の声」がかき消されようとしている。

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