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更新日:2010/11/15(月)

[コラム] 大今歩/尖閣諸島問題は歴史的事実に基づいて対話せよ

『尖閣列島─釣魚諸島の史的究明』に書かれている事実

尖閣諸島に関する唯一の歴史研究は、『尖閣列島─釣魚諸島の史的究明』井上清・著(1972年・現代評論社/1996年・第三書館復刊)である。

まず、本書の付録として、巻末に林子平の「三国通覧図説」(1785年刊。朝鮮・琉球・蝦夷地の3国を図示したもの)の付図が掲載されている。それは琉球王国、中国本土、台湾を色分けしているが、釣魚諸島は琉球王国ではなく、中国本土(福建省・浙江省など)と同じ色に塗られている。

このように、江戸時代の知識人は、釣魚諸島を中国領と認識していた。一方、中国側には釣魚諸島についての文献が多く存在し、明代でも清代でも、中国領と認識していた。

日本政府は、1895年1月14日の閣議で尖閣諸島の領有を宣言し、標杭を立てた。日清戦争で、日本は連戦連勝であった。戦勝に乗じて、一方的に尖閣諸島を日本領に組み込んだのである。

そしてその後、4月17日、下関条約により隣接する台湾を獲得して、植民地支配を進めることになる。閣議決定が中国侵略の一環であることは明らかである。

本書に書かれている事実は、尖閣諸島をめぐる日中の議論を進める上での最低限の前提である。ところが、この間の政府の見解や国会の論戦、マスコミ報道では、全く取り上げられることがない。むしろ、日本共産党が1895年の閣議決定を根拠に、「日本固有の領土」であると主張して、志位委員長が政府を励ます有り様である。歴史的事実に基づいて、日中の対話が進むことを望む。

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