更新日:2010/11/05(金)
[海外] ラテン・アメリカと21世紀社会主義 米国影響力の急速な衰退
──『マンスリー・レビュー』7・8月号 マルタ・ハルネッカー(チリの社会学者、ジャーナリスト、活動家女性)/翻訳・脇浜義明
米国抜き、ラテン・アメリカだけの会
ラテン・アメリカとカリブ海諸国の政治的指導者たちは、米国抜きで会合を持ち始めた。2003年、南米国家共同体(新自由主義グローバリゼーションに対抗する必要があるとしてエクアドルのコレア大統領が呼びかけて作られたもの)の第1回首脳会議がブラジル主催で開かれ、06年に第2回会議がボリビアで開かれた。この2つの会議で、南米諸国連合(UNASUR)の青写真が設計された。08年、ブラジルで南米12ヵ国から成る南米諸国連合設立条約が合意された。
対中国関係の進展
中国の原材料需要とラテン・アメリカの原材料保有とが合致し、両者の関係が密接化。中国は、ペルー、チリ、ブラジルの主要交易国となり、ベネズエラと戦略的連携を形成し始めた。
サンチェス・アンコチェア(オックスフォード大学セント・アントニーズ・カレッジの経済学教授)は、「中国との経済関係緊密化は、ブラジル、アルゼンチン、ベネズエラやその他のラテン・アメリカ諸国にとって、新しい資源と機会になる」と語る。しかし、それは危機と脅威ももたらす。対中国貿易赤字の急増もその一つだ。貿易赤字は、織物業のような労働集約部門にとっては大打撃だ。中国の高い生産性や安価な労賃のために、ラテン・アメリカ諸国の中小企業が脅かされることになる。
FTAA衰退 ALBA創設
米国政府は、南北アメリカ大陸を米州自由貿易地域(FTAA)にできなかった。これへの対抗軸として04年12月に、キューバとベネズエラの間で米州ボリーバル同盟(ALBA)が形成され、その後ラテン・アメリカの数ヵ国が加入した。米国はチリ、ウルグアイ、ペルー、コロンビア、中米諸国と、それぞれ2国間協定を結んで対抗した。
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