[政治] 宮崎口蹄疫 建設的意見交換を求めて
──鹿児島大名誉教授 萬田正治
県畜産課防疫対策・岩崎充祐氏、獣医師・矢野安正氏へのご返答
宮崎・口蹄疫禍の特集(1389・1390号)で、「口蹄疫は土地なし畜産の歪み」と指摘した萬田正治さん(鹿児島大名誉教授)から、メールが届いた。宮崎県畜産課・岩崎充祐氏、獣医師・矢野安正両氏の意見に対するものだ。
萬田氏は、両氏のたいへんな苦労と努力に敬意を表した上で、「批判ではなく、建設的な意見交換を念じ」と述べられている。両氏へは、メールを転送するとともに応答をお願いした。こうした対話が積み重ねられることを心から願いつつ、萬田氏からのメールを紹介する。 (編集部)
@輸入飼料は本当に安全か?
現場の最前線に立たれてのご苦労は、私どもがどんなに推測しても尽くせないほどのものがあったことと思います。ご奮闘の結果、まずは終息宣言にまで導かれたことに対しまして、心より敬服しております。その上で、いくつかのことについてご意見を述べさせていただきます。
ご指摘のように、中国産稲わらは燻蒸消毒が前提とはなっていますが、本当のところ実態はどうなのでしょうか? 失礼かもしれませんが、中国のこと故にあまり信用はできないのではないでしょうか。
また、口蹄疫は発生してない地域に限定してとのことですが、その信ぴょう性はいかがなものでしょうか? 中国側が口蹄疫に関して正確な情報を流しているかどうかも、わかりません。
A安い畜産物拒否の防波堤=「清浄国」認定
このご意見はマスコミもよく使う見解ですが、疾病対策に対する本質的なものではないと思います。あくまでその国の食品安全対策として、非清浄国からの輸入禁止措置がとられているのであり、安い輸入肉の阻止はその結果に過ぎません。
もし清浄国の欧米諸国でも口蹄疫が発生し非清浄国となったら、安い輸入肉はさらに減少し、我が国の肉畜産業はさらに安泰、という論法になるのではないでしょうか。私の入手した欧州諸国の情報では、輸入肉の密輸入などが絶えず、口蹄疫の付着した怪しげな肉対策に苦慮しており、清浄国を維持することの嘆きの声も聞こえてきます。