[海外] 「韓国併合」100年を無為に過ごすなど許されない ソウル「水曜デモ」演劇公演
──劇団水曜日/井上淳
沖縄・日本との連帯求める韓国の人々
私たち「劇団水曜日」のメンバーは、「韓国併合100年」を迎え、日本軍「慰安婦」問題と朝鮮学校無償化実施をテーマとして取り上げた演劇「海を越えて」を、8月4日、ソウル日本大使館前の「水曜デモ」で公演するため、関空を飛び立った。
仁川空港で私たちを迎えてくれたのは、韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)のユン・ミヒャン代表とヤン・ノジャさん。車中には、「劇団水曜日・平和紀行」という素敵なパンフレットも用意されていた。
初日の現地訪問先は、いつも見上げるNソウルタワーのお膝元、南山公園周辺である。
現場の案内と解説は、(財)ウリ文化財資料研究所所長の李舜雨さん、この破格の扱いに、身が引き締まる思いだ。
南山公園周辺は、「韓国併合」前から、日本による朝鮮半島支配の拠点となった場所だ。現在は「安重根記念館」や独立運動の指導者「金九」の銅像などがある。李さんによると、今は見ることもできない朝鮮支配の痕跡が、この地に15ヵ所もあるそうだ。
朝鮮神宮、乃木神社、京城神社、そして日の出小学校、南山東本願寺など、精神的侵略から、総督府の前に置かれた統監府庁舎や憲兵隊司令部、政務総監邸、日本領事館などの支配機構、そして南山の麓には本町という日本人街が形成され、植民地支配を支えた。
一番のショックは、光復直後、人々によって倒され、後ろの日本語案内がすっかり削り取られた「漢陽公園」の標石だ。民族の怒りと恨みの深さを知った。
南山公園はすっかり整備され、散策向きの公園である。安重根記念館が新しくオープンしたら、もう一度この地を訪ねたいと思う。
2日目は、マイクロバスで、平澤に向かった。
「米軍再編」のスタートとして韓国北部の基地を撤去し、大規模な在韓米軍最新鋭基地として建設が始まっている平澤基地は、ソウルから1時間半ほどの自然豊かな田舎にある。
廃墟化が進んでいる周辺の民家と、土煙を上げて基地に向かうトラックを見ながら、「平澤平和センター」で所長さんから説明を受け、建設現場に向かった。
大豆や米の田んぼの先にある広大な米軍基地、数年前は熱気に溢れていた基地反対の闘いは、残念だが今は見ることができなかった。
この後、私たちは日本ではまず体験できない「基地村女性シェルター=ヘッサル」(陽だまり)を訪れ、食事しながら、「もうひとつの基地被害」のハルモニたちと交流した。ここでも現在の韓国女性たちが置かれている厳しい現実を目にした。平和センター所長が言われた「私たちは韓国・沖縄、そして日本本土の人たちと固く連帯したい」「ぜひこれからも連携しましょう」の言葉に、韓国の人々の期待を感じ、「何かやらねばならない」と思った。