[政治] 暴走検察 最高検まで徹底的に責任追及する
元大阪高検公安部長・三井環氏 緊急インタビュー
「前田主任検事1人に責任を押しつけようとする検察の組織的な隠蔽工作だ」―FD(フロッピーディスク)改竄が明らかになった9月21日のうちに、前田主任検事が逮捕されるという異例の事態。元大阪高検検事・三井環氏はこうコメントする。
同氏ら100名は、10月1日、「最高検検事以下、9名の検事は全員免職すべきだ」として、村木元局長の逮捕・起訴に深く関わった検事9名の懲戒免職を求める審査申立書を検察官適格審査会に送る予定という。同氏に緊急インタビューした。
三井氏が指摘する検察官の重大な落ち度は5点。@議員案件であるか否かを裏付け捜査しなかった。AFDを十分検討しなかった。B石井一民主党副代表の事情聴取で議員案件でないことは明らかであったのに、その証拠を隠蔽した。C公判において6名の取り調べ担当検事が取り調べメモを廃棄したと証言したこと。D虚構のストーリーであることが明らかとなった後も、なりふり構わず公判が遂行され、論告求刑でも懲役刑を求刑したこと。
三井氏は、取り調べメモを廃棄したという6名の検事についても「偽証罪」で刑事告発している。(文責・編集部)
最高検・次長検事ら検察官9名の懲戒免職求め審査申立
── 前田主任検事の逮捕は、「口封じ」のためという見方もあるが…。
三井…この事件は、FDの改竄が彼の単独犯行かどうかが焦点なので、上司との共謀関係を調べなければならない。上司との口裏合わせなどの証拠隠滅のおそれがあるので、逮捕の必要性はある。
ただし、検察上層部には、前田主任検事に責任を全て押しつけようとする魂胆はあるだろう。取り調べしているのは身内である最高検であり、そのトップである伊藤鉄男次席検事は、村木元局長逮捕の事前協議にも、処分協議にも深く関与した当事者の1人である。自らの責任を棚上げして前田検事1人に責任をなすりつけるなら、大変な問題となる。
前田検事は、FD改竄を上司に報告していた。それなら、報告を聞いた上司は、犯人隠避罪が成立する。前田検事が「証拠隠滅」の犯人であることを知りながら、そのことを隠していたことになるからだ。
「口封じのための逮捕」という見方もありうる。実際、取り調べの様子がなかなか外部に漏れてこない。しかし、彼は起訴された後に保釈されるだろうから、その時には、思いを語るだろう。そうなると、私の事件の構図と似てくる。
── あなたは最高検を含めて責任を問うているが…?
三井…検察の内規で高級官僚を逮捕・起訴する場合には、事前に上級庁と協議することになっている。大阪地検・大阪高検・最高検、それぞれのトップの部屋に関係検事が全て集まり、前田主任検事が資料(過去の捜査資料と証拠物)を持参して説明し、あらゆる角度から協議する。
これは、私も経験しているが、決して形式的な協議ではない。高級官僚を逮捕するのだから、相当な時間をかけ、詳細にわたって検討する。当然、FD改竄についても、組織トップが「知らなかった」というのは、あり得ないことだ。
検察が描いた事件の構図は、次のようなものだ(右図参照)―@石井副代表の口利きにより、C厚労省・塩田幸雄元部長が村木元局長に証明書の発行を指示し、Dさらに村木元局長が上村元係長に発行を指示した。
この事件は、石井副代表による「議員案件」であることを核心として、捜査が進められた。保釈や逮捕をちらつかせながら倉沢元秘書、塩田元本部長、上村元係長に虚偽の供述をさせ、虚偽の検面調書が作成されたのだ。
ところが、事件の核心である議員案件(石井氏の口利き)の裏付け捜査がなされず、これが崩れた後も、検察は暴走を続けた。