[海外] パレスチナ/ユダヤ人主権・形だけの共存案 大規模なパレスチナ人「民族浄化」も
──脇浜義明
イスラエル右翼の「1国解決案」
オスロ合意の2国解決案を支持するウリ・アヴネリは、7月10日の「ローズマリーの赤ちゃん」と題するエッセイで、イスラエル右派が1国解決案を支持していることを紹介した。そのうえで、オスロ合意を「欺瞞」として拒否し、1国解決案を提起したパレスチナ人やユダヤ人左派を批判した。これは味噌と糞を一緒くたにする議論ではあるが、右派の提起を「行き詰まりを打開するきっかけになる」と期待する左派がいることは確かだ。
イスラエル右派の発想の影響力は取るに足らないほど小さいが、「将来大きな可能的意味を含んでいる」(7月19日付け『パレスチナ・ノート』)と言うパレスチナ人もいる。それはともかく、右派の「1国解決案」を、アヴネリにならって紹介してみよう。
原典は、ノーム・シェイザフというジャーナリストが右翼とのインタビューに基づいて7月15日の『ハアレツ』に書いた「エンドゲーム」と題する長いエッセイで、次のように要約している。
まず第1に、イスラエルの隣にパレスチナ国家を作らせないことが大前提になっている。パレスチナ国家ができれば入植地活動ができないし、西岸地区の入植地や入植前哨地の引き上げにもなりかねないからだ。シェイザフは、1国解決案を支持する6人の右派を挙げている。6人に共通している点は─
@ガザを除外すること。ガザの150万人パレスチナ人を除外することで、人口脅威を軽減できる。
Aユダヤ人国家であること。(左派の1国案は、民族・宗教に関係なく、みんなが平等に暮らせる民主主義国家、あるいは連邦制国家)
B西岸地区併合を早急に行い、入植事業を拡大する。
Cパレスチナ人への国籍授与は、すぐには行わない。
シェイザフは「10年から1世代のプロセスで、最終的にはパレスチナ人にも国籍が与えられ、全面的権利が付与される。しかし、国家の精神とシンボルはユダヤ的である。新月とダビデの星を融合した国旗の『イスラチナ』とか、『すべての住民のための国家』というビジョンではなく、あくまでユダヤ人主権の国家」とまとめている。