[情報] ガザ支援船に乗り込んだイスラエル国会議員 ハニーン・ゾアビ女史インタビュー
「抑圧がある限り、平等は存在せず平等なき場所に、自由はない」
イスラエル特殊部隊による攻撃で、9名の死者と多数の負傷者を出したガザ自由船団マブィ・マルマラ号。700人を越える乗船者の中に、パレスティナ系イスラエル人初の女性国会議員=ハニーン・ゾアビさんもいた。帰国後、彼女には、数十件にも及ぶ殺害予告、無数の脅迫が続き、国会では罷免決議が可決され、国籍剥奪や、国家反逆罪での告訴さえ議論されている。
こうしたなか、彼女を救うための世界的な呼びかけもなされ、ガザ支援運動の象徴的人物となりつつある。「気が強く、物怖じしない性格」と言われるが、彼女の物腰は柔らかく、いわゆる女性闘士というイメージからは程遠い。彼女の実像に迫るべく電話インタビューを行った。(編集部・阪口)
●貴方を取り巻く状況について、まずお話しください。
ハニーン:状況は、まったく変わりません。アラブ系イスラエル人にとって政治的権利に限らず、あらゆる基本的人権への抑圧と差別が強まり、悪くなる一方です。クネセット(イスラエル国会)では、毎週のようにパレスティナ系イスラエル人の政治活動は言うに及ばず、生存権さえ制限するような法律が提出され、可決されています。
●あなたの議員特権を剥奪する法案が、クネセット(国会)に提出されたそうですが?
ハ:明日のクネセットで賛成多数により議員特権剥奪が可決されます。奪われてしまう議員特権は次の3つです。@外交官パスポートの使用、A議員の裁判費用を免除する特権、そしてBイスラエルと外交関係を持たない国への渡航です。
●クネセットの様子をネットで拝見しましたが、あなたを「裏切り者」、「テロリスト」と罵り、一部議員が議長の退場命令を無視し、あなたに詰め寄ったりと、すさまじい状況でした。また、イシャイ内務大臣が司法長官に対し、あなたの議員不逮捕特権と、イスラエル国籍を剥奪する権限を自らに与えるよう要求したり、リクード党のレビン党首が、国家反逆罪での告訴を呼びかけたりと、とんでもない状況になっていますが。
ハ:このような事は、今に始まったことではありません。2006年の第2次レバノン戦争の際には、イスラエル情報相が、「イスラエル国家の起源であるユダヤを否定するあらゆる政治活動を告発し、弾圧していく」と発言してから、アラブ系イスラエル人に対する弾圧は激化しています。私の議員特権剥奪もその一環です。
そして今回のガザ自由船団乗船を理由とする議員特権剥奪を足掛かりに、私の政治活動のみならず、私が所属するバラド党(アラブ系イスラエル政党・「国民民主集団」)の政党としての資格を剥奪し、党を支持するパレスティナ人全体への弾圧を目論んでいるのです。
●議員資格が奪われてしまう可能性はないのですか?
ハ:現行のイスラエルの法律では、私の所属する政党の議会政党としての資格を剥奪することはできますが、任期途中で議席を剥奪することはできません。しかし、任期満了を待たずして、議員資格剥奪を可能とする法案が議論され始めています。