[海外] アフガニスタン/新たなタリバン掃討作戦が目前 劣化ウラン弾の被害も続く
──イラクの子どもを救う会・代表 西谷文和
アフガニスタン現地レポート
私は5月31日から6月12日まで、自身5度目となるアフガン取材を敢行した。取材を始めた6月2日は、首都カブールで開催された「ピースジルガ」(国民和平大会議)の会場にロケット弾3発が撃ち込まれ、市内は厳戒態勢だった。泥沼化する戦争、そして悪化する一方の治安。
国連職員の多くは国外に避難し、結果、何の援助もなく、飢えと病気に襲われる避難民たち。そんなアフガンの子どもたちを、さらに悲劇の底に落としているもの。それは米軍が落としていった劣化ウラン弾の被害であった。(筆者)
「できるだけ多くの命を救うだけ」
「な、なんやこれは!」。私を案内してくれるハビーブ医師がその赤ちゃんを被っている衣服を脱がせた時、私は言葉を失った。「双子がくっついているのか? それとも…」
その赤ちゃんの股間から大きな腫瘍が出ているということを理解するのに、数秒かかった。「コンジンタル・テラトーマ」(先天的奇形)と、ハビーブ医師。
「どうしてこんなことに?」
「原因は特定できない。しかし、戦争がもたらしたものだと、みんなが思っている」
「名前は?」「まだついていない。生後4日目だ」
けなげにも、まだ生きている。「オギャー、オギャー」という泣き声が「助けて、助けて」と叫んでいるように聞こえる。女の子だ。傍らに悲しげな母親。なすすべなく呆然と立っている。
隣の病室には、腹から赤い腸を出した男の子が眠っている。「この子は、生まれつき肛門がない。腸を体外に出して排出させている」。
生後1年1ヶ月。やはりまだ生きている。肛門があるはずの場所を見る。あるべきところに穴が開いていない。
「昨年、今年と、このような子どもが急増している。劣化ウラン弾? もちろん知っているよ。私たちにできることは、貧弱な医療器具と少ない薬を使って、できるだけ多くの命を救うことだけだ」。ハビーブ医師は、この病院の窮状を訴えるとともに、日本の援助を要望した。
米軍の新基地関連工事に日本の援助?
米軍は、イラクでもアフガンでも劣化ウラン弾を使用した。環境に与える悪影響は、計り知れない。そして、このアフガン戦争は9年も続いていて、終わる見通しも立っていない。
今年1月に、「タリバンの拠点」といわれるカンダハール市に入った。カンダハール空港は、周囲に住宅が密集している沖縄の普天間基地とは、真逆の空港。周囲数キロにわたって、民家はおろか、木も生えていない荒涼とした大地が広がる。
なぜか? 民家や木の陰からロケット弾を発射できないように、何の障害物もない状態にしてあるのだ。そして今、カンダハール空港内部に、巨大な米軍基地が建設されている。