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更新日:2010/09/06(月)

[コラム] 栗田隆子/派遣法を撤廃し多様な雇用を保障する法律を

企業にとっての「便利な雇用調整」=派遣労働

選挙が終わった。自民党が票を伸ばし、民主は議席を失い、「ねじれ国会」と呼ばれる状態となった。

そして、多くの法律は審議未了のまま忘れかけられている。そのひとつが「派遣法」である。派遣労働については人民新聞でも取り上げられていたが、今回は「法律」の話で細かくなるけれど、ぜひ話をさせていただきたい。

先日、厚生労働省にて働く女性の全国センターの人々とともに、官僚相手にロビー活動をした。派遣法において「専門26業種」(ファイリング・OA機器操作といった仕事も含まれる。実際は普通の事務作業がほとんど)と呼ばれる職種とそれ以外の一般事務や製造業の違いの一つは、「受入期間」である。受入期間とは、「派遣元事業主からの役務の提供」を「派遣先(実際に派遣労働者が勤めている職場)」である企業が受け入れる期間という意味だが(実はこれがものすごい大きな意味であることを後述する)、専門26業種は受入期間が制限なしとなっている。専門26業種以外の、例えば一般事務などは受入期間が原則1年なのだが、それを逆手にとって、ほんとうは一般事務の仕事をしているのに、契約上は専門26業務とさせ、労働者を派遣のままに雇用させ続けるといったことが行われてきた―とここまで話したところ、役人は「?」という反応をした。というのも―

派遣労働の受入期間というのは、そもそも派遣労働者の受入期間ではなく、「派遣元」を「派遣先」が受け入れる期間を指すのだ、と彼らは言う。つまり、個人としての派遣労働者の雇用期間が制限なしなのではなく、派遣元(派遣会社)という「箱」を受け入れる期間があくまで「制限なし」というだけのこと。その中身である派遣労働者は受け入れ期間は無関係で、労働者は契約によって入れ替え自由なのだ、と。マジでこういう言い方をした。箱の中身は人間とは思えない言い方だ。その挙句―

「だって派遣法の正式名称は、『労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律』でしょう。適正な運営の確保や就業条件の整備は、派遣会社がやることだから」

なるほど。派遣労働が最初から最後まで、企業にとっての便利な雇用調整としての「雇用の多様性」に過ぎないのは、この名前がすべてを物語っていたのだ―。

この法律の名称の意味に気がつかなかった己に、まずは愕然としている。現状の派遣法が派遣労働者のためではない、というのは多くの人がわかってるとしても、最初から最後まで《企業が主体の法律》だと、既にその名称において表現されていたという事実に、どれほどの人が気がついているだろう。

派遣法の枠組みで考えていくと、労働者は人間ではなく「人材」になり、企業こそが契約の「主体」である。名称としてあまりに明らかになりすぎているゆえに、かえって目くらましとなっているようなことを一つ一つ明らかにしていくことが、私にとっての活動であり、政治だと改めて確信した。

最後に。「派遣法」は長期的には撤廃したうえで(これは改正の意思なく廃案となりそうな現状とは根本的に異なる撤廃)、労働者が主体である条件のもとで、多様性のある雇用の確保を保障する法律こそが重要だと、私ははっきり主張したい。以上!

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