[海外] パレスチナ/イスラエルがイスラム教墓地に「寛容博物館」建設計画
──6月16日付 『ジューイッシュ・ピース・ニュース』
シオニズムのアラブ文化・歴史遺産破壊
6月14日、エルサレムにある12世紀のムスリム墓地をイスラエル当局と米国の金融業者による冒涜から守ろうと、墓地関係者や支援団体が最新情報や証拠類をユネスコ、国連人権高等弁務官、国連特別報告者、スイス政府に提出した。
「墓地破壊をやめよ」という陳情書は、非営利団体「憲法上の権利のためのセンター」(本部・ニューヨーク)が、本年2月に作成し、エルサレムの14の旧家に所属する60人が署名して、シモン・ヴィーゼンタール・センター(SWC)の理事会に提出されている。同陳情書は、墓地を破壊した上に「寛容博物館」を建設するというSWCの計画は、文化遺産、信仰の表現を守り、文化及び家族を維持する権利を保障する国際協定を踏みにじるものである、と訴えている。
5月に「ハアレツ」紙にシリーズとして連載された調査記事は、現場の写真つきで、陳情書が主張したことを裏付けている。これらは、世論の関心を証拠づける資料である。
国連は調査に着手。人権委員会は3月に、「博物館建設のためにエルサレムの歴史的なマッマン・アッラー(マミラ)墓地を掘り起こし、多くの遺骨を除去することに対し重大な憂慮」を決議した。ニューヨーク駐在のアラブやイスラム圏の各国大使も、安全保障委員会に訴えを提起、バン・ギムン国連事務総長に訴えた。
スイスの外務大臣は陳情書に支持を表明し、「スイス政府は、歴史的ムスリム墓地にそのような建物を建設する計画を嘆かわしいと考え、その行為は多様な宗教の平和的共存を崩す行為であると思う」と書いた文書を、陳情者に送った。
コロンビア大学エドワード・サイード・アラブ学部のラシド・ハリディ教授とマミラ墓地遺族は、「イスラエルとSWCが計画を断念するまで、国連と世界への訴えを続ける」と表明している。
陳情書に対しSWCは、「歴史的由緒がある壁や墓は、そのままの位置に保存している」と発表したが、資料にはその嘘を暴く証拠写真がある。それによると、墓やその他の装飾品などが、基礎工事によって何層にもわたって破壊されている。