[社会] 大阪府の「ヤミ金特区」提案に反対する緊急声明
大切なのは個人の生活や企業経営の再建だ
今年7月6日、大阪府は国に「小規模金融特区」を提案した。
この特区は、財務局登録を含む大阪府に本店を置く貸金業者を対象に、認証貸金業制度を創設し、1年以内の短期貸付及び20万円以下の小額貸付について、上限金利を年29・2%に緩和するという。同時に、「年収の3分の1以上の貸付を原則禁止した総量規制も、一定の範囲で例外化する」というものである。
このような特区構想は、多重債務被害を拡大させるものである。当会は断固としてこの特区構想に反対し、即時の撤回を求めるものである。
我が国の自殺者数は、昨年(09年)、12年連続で3万人を超え、「生活・経済問題」を理由とした自殺者も8000人を超えている。高金利被害による自殺者が年々増加する状況を受け、多重債務被害の根絶を目的として、平成18年12月に貸金業法等が改正された。
本年6月18日には、改正貸金業法等が完全に施行され、年利20%を超える利息は、5年以下の懲役または1000万円以下の罰金が科されることになった。
「構造改革特区」の名の下に、犯罪的金利を合法化することは、「国民生活の向上と国民経済の発展に寄与する」という構造改革特区制度の目的に反するものである。府はこの特区構想において「大阪府を金利解放エリアとする」としているが、そもそも、そのような治外法権的な「ヤミ金特区」の存在など、社会通念上許されることではない。
多重債務被害の根源は、過剰貸付・高金利・過酷な取立という「サラ金3悪」にある。今回の改正は、この「3悪」を規制し、多重債務被害の根絶を目的としている。これらの規制緩和を図る大阪府の特区構想は、貸金業法等改正の趣旨を踏みにじっている。
この特区構想が実現すれば、全国規模で営業展開をしている貸金業者が大阪府に本店を移動させることにより、上限金利規制と総量規制を緩和した営業を全国的に展開することも可能であり、事実上、改正貸金業法等を否定する結果を招くことは明白である。
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