[海外] ガザ支援リビア船「アマルテア号」航海の軌跡
──フリー・ガザ・ジャパン 阪口エキン
ガザ封鎖を打ち破る直接行動へ!
リビアのガザ支援船「アマルテア」号は、7月10日(土)、ガザを目指して、ギリシャ南部のラヴリオ港を出航した。AP通信によれば、アマルテア号には米や砂糖、調理用油、オリーブペーストを含む食料と、医療品計2000トンの救援物資が積み込まれ、15人の支援者(ナイジェリア人1名、モロッコ人1名。リビア人13名)と、キューバ、ハイチ、そしてインドからの計12名の乗組員が乗船。
支援船のスポンサーであるガダフィ国際慈善開発財団(以下、財団)によれば、当初、出発は9日を予定していたが、目的地の変更を巡って圧力があったという。ガダフィ財団は一貫して、「目的地はエジプトのエル・アリッシュ港やイスラエルのアシュドットではなく、ガザである」と、明確にしていたが、ラヴリオ港の関係者の話によれば、出航時の公式記録には、目的地がエジプトの「エル・アリッシュ港」と記載されていた。ギリシャを出国するための「現実的対応」として、エジプトを目的地として記載したと思われる。
7月13日午後2時過ぎに、公海上でイスラエル砲艦がアマルテア号に接近し、針路を妨害。砲艦から船長に対し、@いかなる形でもガザへの入港は決して認めない、Aエジプトのエル・アリッシュ港へ針路変更せよ、との通告が船長へ行われた。
これに対し、アマルテア号の船長と財団乗船者の代表2名は、@目的地はガザである、A航海の目的が人道支援以外の何物でもない、と明言。アマルテア号は、左右をそれぞれ4隻のイスラエル軍船に包囲され、大幅に速度を落として航海を継続した。
この支援船を準備した財団の乗船者であるマシャラー・ツヴァイ氏は、AFPの記者に対し、「イスラエルから14日の現地時間0時までにエル・アリッシュ港への針路変更を決定しなければ、イスラエル軍はアマルテア号の航行を阻止する、との脅迫があった」と語っている。
AP通信によれば、イスラエル軍ラジオ放送は、イスラエル海軍とアマルテア号船長の交信記録を放送した。それによれば、アマルテア号船長は、目的地をエル・アリッシュ港に変更する、と回答。軍報道官も、「リビア船は、海上での衝突を避けるために、目的地をガザからエジプトに変更した」と発表。
13日未明にイスラエル高官が、「財団から針路変更の発表がされておらず、エル・アリッシュ入港直前に針路を変更する可能性があるため、イスラエル海軍はアマルテア号の追尾を継続する」と発表。
7月14日、アマルテア号は、エンジン故障のため、一時漂流するが、夜間にエル・アリッシュに入港し、現地時間午後10時までに停留を終える、とロイター通信アフリカが配信した。
7月15日(木)、エル・アリッシュ港で支援物資の荷揚げが行われた。この後、エジプト赤新月社の手により、支援物資がガザへ届けられる予定。