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▲小野善康大阪大教授(右)神野直彦関西学院大教授(左)
更新日:2010/08/09(月)

[政治] 【意見特集】鳩山辞任・菅政権発足に思うこと 政治の混迷の中で「もう一つの世界」の実現に向けて何ができるのか?A

経済成長に依存しない社会モデルを!●大学非常勤教員 イダヒロユキ

民主党政権の限界が、沖縄基地問題だけでなく、外国人参政権や夫婦別姓や配偶者控除廃止ができないとか、「骨抜き」派遣法さえ通せないとか、高校無料化から朝鮮学校を排除するなど、様々な点で出ている。

だが、自公中心で、みんなの党、その他弱小右翼政党などが連立する保守政権が復活しては、最悪である。だから、民主党中心で、社民などがまともな政策をさせるよう圧力をかけていける位置になるのが望ましい。

菅政権は、鳩山・小沢よりましな面(古い政治からの決別)はあるが、菅がブレア的な第三の道を言っていることは危険である。

その背景には、小野善康阪大教授という半分ネオリベ的な人物がブレーンであることが影響している。法人税を下げ、消費税増税、成長が見込める福祉や環境で仕事をつくって経済成長を目指すというのは、小泉路線とは一線を画すものの、「市場重視・成長重視」という点でネオリベ的である。個人の就労意欲やモラルを重視する「ワークフェア」的なことを進めようとする路線であろう。

それに対し、もうひとりのブレーンと言われている神野直彦教授は、北欧型社民主義への転換をめざす路線で、まともである。子ども手当ての評判は悪いが、実は普遍主義的社民主義の政策で、これはまともである。

今のところ、矛盾したこの2人の両方の言い分を並べており、菅首相がどちらに重点をおくかが、今後の評価を分けていくだろう。

なお、菅首相が増税を言うことに対して、野党もメディアも、そして国民もいっせいに批判的に攻撃するが、日本で今、政権交代があり、大きな枠組みの視点がようやく論議される可能性が高まっているときに、増税を批判するのは間違いである。

ただし、所得税・法人税中心の増税をすべきで、消費税ありきの話になるのが、ネオリベ思考に毒された政治家とメディアの愚かさである。北欧型社民主義(高福祉高負担系・強い社会保障の社会)の意義を強調していくことが重要で、そのために所得税増税で連帯しよう、と言うべきなのである。

なおメディアや評論家は、「責任ある政治家は増税を言うべき」と言っていたくせに、いざ言及すると批判するのであるから、《選挙中心・民主党政権批判ありき》の偏った姿勢というしかない。

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