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更新日:2010/07/01(木)

[コラム] 栗田 隆子/WOMEN’S “WALKING” MAYDAY in SHIBUYA

一人ひとりの力を表現する女性たち

「日本で初めて」の女性メーデーが、女性と貧困ネットワーク主催で、5月16日(日)に東京・渋谷で行われた。

1378号の人民新聞の「フリーターデモ特集」に一歩遅れる形の報告になってしまったが(この偶然もまた、常に後回しにされがちな「女性の地位」を現してしまっている)、ぜひこの記念すべきメーデーについて一言触れたい。

とはいえ、そもそも今までなぜ女性のメーデーが存在していなかったのか。男性と比較すれば、貧乏なのは明らか。労働条件・経済状況も明らかに違いがあり、非正規雇用のメインはまさに女性の労働者なのだが…。

たとえば、「労働運動」を担ってきた労働組合に「女房・子どもを養うために賃金を上げろ」という思想が根強くあり、その“女房”の働き方は、男性の労働運動の視野には入っていないとか、さらにはフェミニズムの思想においても、「労働問題」というのはあまりメインにならなかったとか…。

私自身、フリーターズフリーを始める際に、何人かの女性にアプローチをしたものの、「大事なテーマだね」とは言ってくれるが、あまり興味を持ってもらえなかったという経験がある。女性にとってすら、「女性の労働問題」は盲点だったのだ。それこそがまさに女性問題そのもの、と思えるが。そして女性の働き方は有償・無償の多岐にわたる。だからこそ、“WORKING”ではなく、まず働いている・働いていないにかかわらず、女性たちが一緒に歩くことが重要と思い、“WALKING”とした。

しかし、それとはまた別に、《なぜ女性主催のデモが行いにくいか》が、デモを準備する側になってよくわかった。

まずは「警察」。デモする際に役所ではなく、「警察」というだけでハードルが相当に高くなる。それこそ「怖い」ではないか。

さらには「時間」の問題。本来警察は受付は24時間いつでもOKのはずだが、結局、「昼間に来い」と言われる。メーデーにとりわけ関心があると思われる働いている女性たちは、たいてい滅茶苦茶「忙しい」。仕事が終われば、子どもを保育園に迎えに行くとか、介護が待っているということが日常茶飯だ。働きながらデモ申請できるには「有給」が取れるような会社でなければ難しい。それか大きな労働組合の専従で、デモ申請も仕事とみなしてもらうような環境でなければ、とてもじゃないけど、手が回らない。そして、多くの女性は有給もないし、小さな労組の専従は相談業務で手一杯だ。ある意味私のような「ヒマジン」でなければ、デモ申請することすら適わないのだ。

そして警察に行けば、女性はさらに舐められるし、肩まで触られる。これだからこそ、女性メーデーが必要なんだよな。

女性たちの叫びを貼り付けた「ビンさん」「ボウさん」というパペットの下で、思い思いの格好をした40人ほどの参加者が、「女の声を聞けー」「女を安く使うなー」と叫びを上げた。そして「セックスワーカーを舐めるな!」というコールもあげた。そのコールの直後に警官が「セックスワーカーってなんだ」と笑ったらしい(参加者がブログで書いてくれた)。

またデモに初めて参加した人が、「デモの参加者側に自分がなったとたん、警官の態度が変わることに驚きを感じた」と、やはりブログに書いている。また、シュプレヒコールの全てに参加者が納得できるわけでもない。しかし、「来年もまたやりたい!」との声が寄せられているのも事実だ。

女性のデモは、社会の女性の位置を表し、そして変える力を持つと改めて感じる。そして、デモを準備する際に感じたのは、参加者の表現する力だ。一人ひとりの力を表現できる女性のメーデーとなってゆければ、と思う。写真・動画付の女性のメーデー報告は、下記のブログから読めます。

http://d.hatena.ne.jp/binbowwomen/20100521

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