[政治] 基地誘致は宝くじに当たったようなもの
推進派=谷岡一氏 一問一答
―基地誘致の目的は何か?
谷岡:私は中央通り商店街の会長だが、全35店舗のうち、10店舗は、シャッターを降ろしたまま。残り25店舗も、後継者がいない。10年後、この商店街は、なくなっているかもしれない。これまで本土からの企業誘致を模索してきたが、基地の誘致は、願ってもない振興策だ。これで人口減少にも歯止めがかかる。
―誘致の条件は何か?
谷岡:経済振興策として、@奄美振興策の3割削減を撤回し、沖縄以上の経済振興策、Aさとうきびを市場価格の3倍程度で政府が買い上げ、B道路網の拡幅整備工事、C航空運賃の大幅引き下げ、D全天候型のドーム闘牛場の建設、などを要求している。
―振興策の恩恵を受けるのは、建設業・商店街など一部だけ、大多数住民は騒音・犯罪被害など、デメリットしかないのではないか?
谷岡:反対派は、そんな宣伝を行っているようだが、全島民が恩恵を受けられるように、@高すぎるガソリン価格の引き下げ、A60歳以上の全島民に月10万円以上の特別年金、B子ども手当の2万円増額、C全世帯への2万円の住宅手当、D日米地位協定の見直し(犯罪米兵の日本の法律による裁判)、なども要求している。
―そんなことをしたら、完全な基地依存の経済・生活にはまりこみ、抜け出せなくなるのではないか?
谷岡:そんなことはない。少なくない高齢者が無年金状態で、本当に困っている。最低限の生活保障を要求して何が悪いのか? 「衣食足りて、礼節を知る」と言うではないか。仕事もなく夢も持てない青少年が、非行に走っている。働く場ができれば、彼らは島に残れるし、家族とともに暮らすこともできる。
―島民の意志は、15000人の反対集会で示されたのではないか?
谷岡:あの数字には、誤魔化しがある。航空写真で参加者を数えたら、参加者は5000人か、多くても7000人だ。しかも、行政主導で反対の雰囲気が作られたから、基地賛成派の人も参加せざるを得なかった。今は、「賛成」を言えない空気が作られている。隠れた賛成派は多いのだ。
町長が「反対」の立場なので、建設業者は、本音では誘致したくても、賛成と言えない。町長に逆らえば、仕事をもらえなくなるからだ。建設業者にとって、基地誘致は宝くじに当たったようなもの。反対するはずがない。
―じゃあ、なぜ沖縄は基地撤去を求めているのか?
谷岡:沖縄の人口は、復帰当時と比べて2倍近く増加した。観光も活発で、本土から移り住む人も多い。もし経済振興策がなくても、こうなっていただろうか? 徳之島の人口は、半分に減少した。この人口減少に歯止めをかける策が他にあるのなら、教えてほしい。
―今後、どのように誘致運動を進めていくか?
谷岡:まず、町長が政府との対話に臨むことが重要だ。最初から対話の道を閉ざすのは、間違っている。町長は、全住民の利益代表だ。条件を聞きたい住民もいるのだ。町長は全住民の代表として、その職責を果たすべきだ。
―誘致運動への政府からの支援はあるのか?
谷岡:全くない。私の活動費は、島内外の企業家・商店主からのカンパだ。自民党時代の内閣官房副長官・渡邊嘉蔵が、援助を申し出てくれた。しかし、金が出ているわけではない。
―右翼である「松魂塾」が徳之島入りしたと聞いたが…。
谷岡:松魂塾の塾長は、徳之島出身だ。盆・正月には帰省している。中学校の同級生たちが、この辺りにもたくさんいる。当たり前だ。
―基地問題とは無関係なのか?
谷岡:関係ないとは言えないだろう。ただ、私はそれほど親しいわけではないので、何も言えない。松魂塾以外の右翼が徳之島に入ったら、逆にショバ荒らしで大問題になる。