人民新聞オンライン

タイトル 人民新聞ロゴ 最新版 1部150円 購読料半年間3,000円 郵便振替口座 00950-4-88555┃購読申込・問合せはこちらまで┃人民新聞社┃TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441┃Mailto:people@jimmin.com
反貧困社会編集一言政治海外情報投書コラムサイトについてリンク過去記事

▲4月18日の移設反対郡民大会

▲上:徳之島町役場にも「断固阻止」の横断幕。下:至る処に「断固反対」の看板が

▲考える会」吉玉誠一さん藤井裕正徳之島町議樺山幸栄「考える会」会長
更新日:2010/06/22(火)

[政治] 持ち込まれた分断の火種 移転先探しNO!日米安保の根本的見直しを!

【普天間基地移転先候補 徳之島NOW!】

梅雨に入った徳之島は、5日間の滞在中晴れることなく、雲が重くたれ込め、時に海からの強風が吹き荒れた。

普天間基地の一部移転先候補として、政府が徳之島(鹿児島県)を選定して以降、静かだった徳之島は一変。政治の嵐が吹き荒れている。

5月14日、平野官房長官が、鹿児島市内のホテルで誘致賛成派と会談。移転内容と見返りの経済振興策について説明が行われた。「反対」でまとまっていた徳之島に分断の火種が持ち込まれ、島内には疑心暗鬼も生まれ始めている。緊急現地取材した。(編集部・山田)

静かな島に広がるウィルス

「(賛成派が)口蹄疫のように広がってもらっては困る」。

こう語るのは、仲元修さん(仮名・伊仙町・68歳)だ。宮崎県では、家畜伝染病=口蹄疫が流行し、畜産農家に恐怖を与えているが、徳之島には別の伝染病が持ち込まれた、というわけだ。ウィルスは鳩山政権によって培養され、平野官房長官を介して徳之島に持ち込まれた。「今はまだ局所的で小さいが、広がらないうちに封じ込める必要がある」と、仲元さんは語る。

4月18日、15000人の島民が結集した移設反対集会は、鳩山政権に大きな打撃を与えた。島内3町長も揃って「島民の意思は集会で表明済み」として、官房長官との会談拒否の姿勢を続けている。ところが、高岡徳之島町長が斡旋する形で、町議5名が平野官房長官と会談(14日)したのに続き、16日にも経済団体等約20名が、平野官房長官との面会に臨んだ。

こうしたなか伊藤祐一郎鹿児島県知事は、「政府が方針を決定すれば、たとえ反対であっても、説明を聞くのは、行政官の役割」「話も聞かずに反対というのは、いかがなものか」と、官邸サイドを援護射撃する。

移転推進派を育て、巻き返しを謀る鳩山政権の工作は、奏功するのか?

大型公共工事の誘惑

「今後(基地問題が)どう動くかわからない。私の名前は出さないでくれ」―島内にある建設会社社長の取材撤回の弁だ。基地移転反対署名にも積極的に参加したこの社長は、弊紙取材を当日になってキャンセルした。

民主党政権になって、奄美振興策は3割削減された。徳之島の2大建設会社の一角であった豊富建設は、金融危機の影響もあって倒産。他の建設業者も青色吐息だ。取材キャンセルは、ここ数日の移転受け入れ派の動きと無関係とは思えない。万が一にも、基地移転が決まれば、大規模公共工事が発注される。「移転反対派」と目されれば、大きな仕事を失うことになる。「今は、様子を見ざるを得ない」というところだろう。

道行く島民にインタビューすると、躊躇なく「反対」と答える。15000人集会で示された島民の意志が、にわかに変わり始めたとは思えない。

しかし、「子どもや孫たちの仕事がないじゃないか?」「人口が減り続けてもいいのか?」「貧乏のままでいいのか?」という声に乗って、「条件だけでも聞いてみよう」という賛成派の説得は、一定の波及力を持つ可能性はある。本土と沖縄の狭間で無視され続けてきた奄美・徳之島に、突然降って湧いた振興策という現ナマ攻撃が、勢いを増す可能性は否定できない。たとえ振興策が麻薬であることがわかっていても、だ。

反発招いた一本釣り

「一本釣りで勝手にやっている」(町田喜男徳之島町議会議長)―こうした声は、平野官房長官への反発として、島内で広がっている。

14日、平野官房長官と会った5人の町議の携帯電話は、会談の前から鳴り続けていたという。マスコミの取材ではない。地元支持者からの抗議の電話だ。推進派町議のリーダー格と目されている池山町議も「40〜50件もの抗議電話があって困惑した」という。今も、「賛成派なのか?」との抗議が続き、言い訳に腐心している。

翌15日、徳之島町議11名(全15名中)が参加した「意見交換会」でも、「平野長官と会った町議からは、しきりに反省の弁が聞かれた」(藤井裕正町議)という。この意見交換会では、@今後、誤解を招く行動は控える、A6月議会で再度、移転反対を決議する、B「いかなる条件も受け入れない議員連盟」(仮称)の結成、が提案された。(藤井議員は、絶対反対派議員)

「今は、誰が賛成派に流れるのか、様子を見ている」と語るのは、「徳之島の自然と平和を考える会」(樺山幸栄会長・以下「考える会」)の吉玉誠一さん(65才)だ。「賛成派を追いつめて、態度を硬化させないようにしたい」と、願っている。

誘致賛成派は、昨年11月、牧野聖修民主党衆議の同島訪問以降、誘致に向けた動きを水面下で進めてきた。鳩山政権にとって徳之島移転の失敗は、政権の屋台骨を揺るがす失策となるため、なりふり構わぬ攻勢を仕掛けている。

続きは本紙 【月3回発行】 にて。購読方法はこちらです。
[HOME]>[ 政治 ]


人民新聞社 本社 〒552-0023 大阪市港区港晴3-3-18 2F
TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441 Mailto:people@jimmin.com
Copyright Jimmin Shimbun. All Rights Reserved.