[政治] 持ち込まれた分断の火種 移転先探しNO!日米安保の根本的見直しを!
【普天間基地移転先候補 徳之島NOW!】
梅雨に入った徳之島は、5日間の滞在中晴れることなく、雲が重くたれ込め、時に海からの強風が吹き荒れた。
普天間基地の一部移転先候補として、政府が徳之島(鹿児島県)を選定して以降、静かだった徳之島は一変。政治の嵐が吹き荒れている。
5月14日、平野官房長官が、鹿児島市内のホテルで誘致賛成派と会談。移転内容と見返りの経済振興策について説明が行われた。「反対」でまとまっていた徳之島に分断の火種が持ち込まれ、島内には疑心暗鬼も生まれ始めている。緊急現地取材した。(編集部・山田)
静かな島に広がるウィルス
「(賛成派が)口蹄疫のように広がってもらっては困る」。
こう語るのは、仲元修さん(仮名・伊仙町・68歳)だ。宮崎県では、家畜伝染病=口蹄疫が流行し、畜産農家に恐怖を与えているが、徳之島には別の伝染病が持ち込まれた、というわけだ。ウィルスは鳩山政権によって培養され、平野官房長官を介して徳之島に持ち込まれた。「今はまだ局所的で小さいが、広がらないうちに封じ込める必要がある」と、仲元さんは語る。
4月18日、15000人の島民が結集した移設反対集会は、鳩山政権に大きな打撃を与えた。島内3町長も揃って「島民の意思は集会で表明済み」として、官房長官との会談拒否の姿勢を続けている。ところが、高岡徳之島町長が斡旋する形で、町議5名が平野官房長官と会談(14日)したのに続き、16日にも経済団体等約20名が、平野官房長官との面会に臨んだ。
こうしたなか伊藤祐一郎鹿児島県知事は、「政府が方針を決定すれば、たとえ反対であっても、説明を聞くのは、行政官の役割」「話も聞かずに反対というのは、いかがなものか」と、官邸サイドを援護射撃する。
移転推進派を育て、巻き返しを謀る鳩山政権の工作は、奏功するのか?
大型公共工事の誘惑
「今後(基地問題が)どう動くかわからない。私の名前は出さないでくれ」―島内にある建設会社社長の取材撤回の弁だ。基地移転反対署名にも積極的に参加したこの社長は、弊紙取材を当日になってキャンセルした。
民主党政権になって、奄美振興策は3割削減された。徳之島の2大建設会社の一角であった豊富建設は、金融危機の影響もあって倒産。他の建設業者も青色吐息だ。取材キャンセルは、ここ数日の移転受け入れ派の動きと無関係とは思えない。万が一にも、基地移転が決まれば、大規模公共工事が発注される。「移転反対派」と目されれば、大きな仕事を失うことになる。「今は、様子を見ざるを得ない」というところだろう。
道行く島民にインタビューすると、躊躇なく「反対」と答える。15000人集会で示された島民の意志が、にわかに変わり始めたとは思えない。
しかし、「子どもや孫たちの仕事がないじゃないか?」「人口が減り続けてもいいのか?」「貧乏のままでいいのか?」という声に乗って、「条件だけでも聞いてみよう」という賛成派の説得は、一定の波及力を持つ可能性はある。本土と沖縄の狭間で無視され続けてきた奄美・徳之島に、突然降って湧いた振興策という現ナマ攻撃が、勢いを増す可能性は否定できない。たとえ振興策が麻薬であることがわかっていても、だ。
反発招いた一本釣り
「一本釣りで勝手にやっている」(町田喜男徳之島町議会議長)―こうした声は、平野官房長官への反発として、島内で広がっている。
14日、平野官房長官と会った5人の町議の携帯電話は、会談の前から鳴り続けていたという。マスコミの取材ではない。地元支持者からの抗議の電話だ。推進派町議のリーダー格と目されている池山町議も「40〜50件もの抗議電話があって困惑した」という。今も、「賛成派なのか?」との抗議が続き、言い訳に腐心している。
翌15日、徳之島町議11名(全15名中)が参加した「意見交換会」でも、「平野長官と会った町議からは、しきりに反省の弁が聞かれた」(藤井裕正町議)という。この意見交換会では、@今後、誤解を招く行動は控える、A6月議会で再度、移転反対を決議する、B「いかなる条件も受け入れない議員連盟」(仮称)の結成、が提案された。(藤井議員は、絶対反対派議員)
「今は、誰が賛成派に流れるのか、様子を見ている」と語るのは、「徳之島の自然と平和を考える会」(樺山幸栄会長・以下「考える会」)の吉玉誠一さん(65才)だ。「賛成派を追いつめて、態度を硬化させないようにしたい」と、願っている。
誘致賛成派は、昨年11月、牧野聖修民主党衆議の同島訪問以降、誘致に向けた動きを水面下で進めてきた。鳩山政権にとって徳之島移転の失敗は、政権の屋台骨を揺るがす失策となるため、なりふり構わぬ攻勢を仕掛けている。